においをかぐ
コーヒーショップで豆を買った。
焙煎してから数日が経ち、丁度飲み頃の豆ということだった。
自家焙煎をしている店で飲み頃の豆を買い、
コーヒーミルで豆を挽き、ドリップする。
浅煎りの甘い香りが挽く事で一層広がる。
お湯を入れることによって、湯気と共に立ち昇ってくる香り。
この香りがたまらなく好きだ。
香りは記憶を密接に繋がっていて、
普段思い出しもしない古い記憶を呼び覚ます。
これをプルースト効果と言い、僕は子供の頃メダロットという漫画で知った。
(博士が焼き魚を焦がしたにおいで過去の記憶を思い出した際に「あ、プルースト効果」とつぶやいていた)
焙煎した豆、挽きたての豆の香り。
これはコーヒーショップに通い始めた頃の
ワクワクした冒険心を思い出させる。
普段行くことはない活気のある街。
洒落た内装のかっこいい店。
聴き慣れないけど心地よい音楽。
常連と店員の親しげな会話。
行き帰りに乗った、客の疎らな地下鉄。
あれからしばらく経ち、生活環境も変わった。
頻繁には思い出さないし、忘れていっている事も山ほどあるはず。
不思議と、プルースト効果で思い出すのはポジティブな気持ちだけだ。
において嫌なことを思い出す事はほとんどない。
においでふと思い出すことは他にもある。
例えば香水。友達の家。その時遊んでいたもの。
友達の母が使っていたんだと思う。
あとはたばこ。おじいちゃん家のにおい。人、もの、感情が新鮮に思い出せる。
気づいていないけど、これから思い出す〝におい〟もあるんだろうな。
花の香り、食べ物、その時凪いでいた風。
楽しみだ。
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音楽もこういうことが度々ある。
聴いていた頃の当時の記憶が蘇る。
どうやら「メンタルタイムトラベル」というらしい。
懐かしさを感じている時と、音楽を聴いて感動している時の
脳の反応が近いらしい。
音楽についての記事もそのうち書きたいな。