ガチャで三題噺を書く 第28話『読書会 ラジコンカー 婚約者』

youtubeで行った
ガチャで三題噺を書く 第28話『読書会 ラジコンカー 婚約者』
の完成テキストです。
お題は太字にしてます。
所要時間は約1時間3分でした。
詳しくは動画もご覧いただけると幸いです。↓

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私は読書会に出席している。
地域の自治会から設立されたもので、毎月第2日曜日に自治会館の一室に集まり一人ずつおすすめの本を紹介しあうというものだった。
自分の読んだ本について語りながらみんなでお茶菓子を楽しむ、要は本好きの集まりだ。
学生時代からの本の虫だった私はこの会の存在を知った時飛びついた。
スケジュールは読書会を優先して組む私はこの会の常連だった。

ある日曜日読書会の時間より早く家を出た私は、緑の多い公園に寄り道をすることにした。
ベンチに座り今日紹介する予定の本を開いて改めてその良さを楽しんだ。
日曜日、本、緑。
これからは読書会に行く前にここで本を読もう、私は宝物を手に入れた気分だった。
しかし突如そこにウイーンと激しいモーター音がつんざいた。
驚き顔をあげると、それはラジコンカーだった。
ラジコンカーは土煙を上げながら走り、地面に絵を描くように右へ左へと走った。
電灯や柵などの障害物を紙一重でよけ、S字8の字に動き回り、その動きはまるでフィギュアスケートのようだった。
向こうにはプロポを持っている男がいる。
私と同じくらいの年齢の男性だ。
私の知的で優雅なひとときを野蛮で無節操な音で台無しにさせたことも知らずに、にこにこと指を動かしている。
私は目が合うことはないと知りながらもその男をにらんだ。

次の読書会のときも公園に行ってみるとその男はいた。
同じくラジコンカーを走らせていた。
相変わらずこの公園には似つかわしくない轟音を鳴らしていた。
さらに私を苛立たせたのは、その男が読書をしている私を気にすることもなくにこにことしていたことだ。
なんて無遠慮で幼稚な人間だろう、私は溜め息をついた。
ある日曜日にこの公園を通りがかったときもあの男はいた。
いつものようにラジコンカーを操作しながらにこにこ顔で。
どうやら彼も近所に住んでいて毎週のようにここでラジコンをしているらしい。
といってもプロというわけではなく、純然たる趣味でやっているとのこと。
仕事はごく普通のサラリーマンで、毎晩少しずつラジコンカーのセッティングをしているのだという。
それを日曜日に走らせて調子を見て、また1週間かけてちょこちょこといじるのが楽しいらしい。
腕前を見る限り操縦も得意らしく、昔は大会にも参加していたようだ。

で、どうして私がそんなに彼について詳しいかって?
それは彼に直接聞いたからだ。
私は公園で会うたびにこの男に舌打ちをし、ラジコンカーを憎んだ。
壁にクラッシュしてしまいラジコンカーが壊れたときは、私は内心喜んだ──もっとも次の日曜日には修理して何事もなかったかのように再び公園を縦横無尽に走っり回っていたが。
けたたましいモーター音を出すラジコンカーという趣味は、私の読書という趣味とはきわめて相性が悪いものだ。
本とラジコンカーは同じ箱の中に入れることはできない。
私はそう思っていた。
それが今や彼は私の婚約者となり、私たちは一つの屋根の下に暮らしている。
まったく少年のように目を輝かせる笑顔の破壊力は絶大である。

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~感想~
完全な失敗作です。
これでは婚約者であることに意味はなく、恋人でも配偶者でも同じです。
婚約者ということをちゃんと生かした話を作るべきでした。
読書会も出席している描写がないのでなんだかなあという印象です。

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