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バレーボール練習の常識を変える~バレークリニックメモ(11.Sep.2015)

書き留めたメモから~日本のバレーボールを見直す

○ 時代から学ぶ、過去から学ぶ、プロセスから学ぶ・・・は大事で、それは教訓を得るだけじゃなくこれからにあったものを生み出す下地となるわけです。

○ 多くからの発掘やセレクション、鍛えられたフィジカル、とてつもないマッスルメモリーで得たプレー再生能力、多くを犠牲にし乗り越えてきた自負と精神力、不可能を可能にするプランとビジョン、相手にプレッシャーを徹底的に与える組織力、シンプルの質の高さ。トータルバレー。時代ごとの強さの要素が

○ やらせるメニューやドリル、練習によって、心理的限界をもたせないようにする

○ 良いコーチの条件・・・自信がある、コーチの前に教師である、先を見通す力とビジョン、チームのカルチャーをつくる、学び続ける、他から学ぶそして自分の周りには自分よりも英知をもった師がいる、知らないことを恐れない隠さない、プランがある計画をつくれる、感謝と敬意がある

○ コーチ(指導者)は自分が「知らない」ということを恐れないこと。

○ 日本に限っただけじゃなく、海外でも年々若い人のコミュニケーション能力が落ちているような印象があるらしい。

○ アタックの決定率が、試合の勝敗を大きく左右する。

○ チャレンジシステムは、ジャッジの正確性では大変有意義である。ただ時間がかかり過ぎるのは問題で。コミュニケーションに時間がかかり過ぎる。まずはチャレンジの要求があったら即座に会場の大型ビジョンやテレビに映像を出すべき。それが観客や視聴者に考えさせ、それが競技性への教育や訓練になる。

○ さまざまな情報においては、収集→解釈→活用→選択判断 の過程が大変重要。そして、何においてもプランと見通す力を常にチェックしていかねばならない。

○ Mindful Repetitions 意識の高い繰り返しが重要です

○ 打点が高くなることで、打ち込めるコースやスペースが広がる。

○ 試合時間が長引くほど、実力のある本当に強いチームが勝つ。試合時間が短くなるほど、ランダムな要素が出てくる。

○ リードとは、ネットの向こうの相手の状態や展開、ゲーム展開を読み取ること。

○ guessによるfauitステップが、いかに致命的かということ。ブロックはいこうと思えば3枚行ける。それをはなから行かなくていいという限界思考を植え付けても、上のレベルへは進めない。

○ トータルなディフェンスにおいて、位置取りやコースの共有や連動だけではなく、シー&リアクトの原則をブロックとフロアディフェンスが同じくやっていなくてはならない。リードブロックとトータルディフェンス。

○ やっぱり小中学生ぐらいの子どもに同一種目の練習、しかも長時間のやらせすぎは絶対よくないことだという話

○ プレーヤー、特にセッターをよく見て、ボールを見る時間を最小に。視野の切り替えや周辺視野大事。

○ アイワーク、フットワーク、ハンドワーク

個人の集合体から、チーム機能がある組織体への練習を

 今回のクリニックで、ディスカッションした話題で印象的だったのが、ピラミッドのブロックや白の石垣の石のような話です。
 大中小さまざまな大きさ、丸みのものから角ばったものまでさまざまな形のものが、隙間を埋めるように強固に組んでいます。大きい石ばかりでも強固になりませんし、小さなものでは大きな構造物の完成は果てしないものです。

 これをチームワークとかバレーの組織力に置き換えるとどうなるでしょうか?

 特にバレー初心者がパスのコントロールをオープンスキルのラリーの中で発揮するのは容易くありませんし、相当な時間がかかります。ですから、ただ単にコートに人数を散らせてラリーをさせても、なかなかものになりません。次第に集中力も切れてきます。
 そこで、ちょっとしたリーダーとフォロワーの意識をスキルレベルに応じて説明します。ただ、ここで注意したいのは、スキルが未発達な子が参加しない消極的な状況、または参加できない状態にさせないことです。

 チームの中で、どちらかというとスキルが伴ってきている選手には「リーダー」と銘打って、説明をします。視点は2つ。一つ目は、フォロワーの部分をできるだけリーダーがカバーすること。しかし、これだけだと、フォロワーがプレーしなくなってきます。お任せお客さん状態を生みます。そうしてもう一つの欠点は、無理なプレーを選択してしまいます。つまりはフォロワーに任せられないと、無理やりなプレーをし、結果ミスになっちゃいます。
 リーダーはより積極的にコミットしますが、それでもコートすべてをカバーしきれません。
 そこで二つ目の視点を与えておきます。フォロワー的な子に、どのように今もてる力を発揮させるか。リーダー自身が処理するよりも、フォロワーにプレーさせる方がいいと判断できるかどうか。そして判断した際には、フォロワーがプレーしやすい状態をつくる努力を最大限にすること。ボールの返球をゆったりにしたり、声をかけて動かしたり。そういう判断力やスキルもチームプレーでは必要になってくると思います。

 一つひとつの石は、大きさも形も違って当然。
ただ強固で巨大なものにするためには、一つひとつの岩が大きくなければなりません。これが個人のスキルアップです。ですが、みんな同じようなものをそろえられません。

 組織を支えるために必要なのは、構成するものが密着していることです。「隙間」(ブランク)がないということです。
だ から、スキルが上でも下でもやれること、やらなければならないことがある。立派な岩をそろえれば、見た目は巨大な石組かもしれないけど、それらが密着していなく隙間だらけの脆弱な土台や基礎にしかならず、もろく崩れやすいはずです。この隙間(ブランク)が、「ミス」の発生を表します。もちろん、小さな石だけでは土台にはなりませんから、当然個々の力量を大きくすることも必要です。

 一方で、小さくとも形が違っていてもしっかり密着できる役割分担や思考方法をもてれば、チームとしてのミスは減らすことができるのではないでしょうか?スキルレベルがそろっていなくとも、個性が違っていても、いかに情報や理念を共有し、組織的な動きができるか。あとは、そういう視点や思考方法をもたせつつ、個々が今よりも少しずつレベルアップしていければ、次第に巨大でかつ強固な組織体になっていく。

 初心者といえども、こういったところから、「組織」に対する思考や、「組織力」の活かし方を落とし込んでいいくことは、これからますます大事になってくるんじゃないかなと思います。ともすると、スキルが未発達だと、いつまでもコートに立てないとか、試合に出れないとかになりがちです。同時に初心者はなかなかゲームに対する抵抗感を払拭できません。より能動的に取り組めるような働きかけも必要です。そこにこそチャンスも学習もできる余地があると考えたいです。


(2015年)