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バレーボール「戦い方」ポイント(ゆるーい戦術論)

 日本でバレーボールを観ていて少々息苦しいと感じる時があるのが、ファン層の棲み分けみたいのがうまくいっておらず、しばしば対立さえ生まれてしまうことがあることです。個人的には、それぞれの人が、いろんなバレーボールの楽しみ方をしていいと思っています。戦術ヲタ、顔ヲタ、イケメン押し、チームおっかけ、個人ファン・・・何だっていいと思います。それらが摩擦を生むとしたら、それはまだまだメジャーになってはいないということかもしれません。
 でも、そんな人々も同じ「バレーボール」を観ているわけです。「バレーボール」をやっている選手やチームを観て、自分に何らかのシンパシーやときめきが発生して、応援したり観て考えたりするんだと思います。
 だから、観ているバレーボールがさらに発展していけば、観ている我々の喜びや楽しみだって増幅していくわけです。だからバレーボールの発展も、ファンなら少しは心に留めておくべきだと思います。
 せっかく素敵なチームやカッコいい選手、キュートな選手を応援して楽しんでいるのですから、そこに少しでも「バレーボールの醍醐味の理解」が加われば、もっと楽しくなること間違いないです。
 
 どんな分野やジャンル、業界にも専門用語や専門知識というものがあるわけですが、ファンがバレーボールを楽しむとき、それなしに楽しむことができないというのも、競技の発展性から考えたら問題だと思っています。必ずしも専門性がなくても楽しむことはできると思います。
 しかしながら、まずは、難しい知識をすべての人に要求するというよりも、ざっくりと、バレーボールを観る時のポイントをおさえながら選手やチームを応援し、バレーボールを観戦していくと、もっともっとバレーボールが面白いと気づくはずです。その中から興味関心を持ってくれた方が少しずつ専門的な情報に入ってくれればなおいいなと思います。

 日本のバレーボールの発展、そしてみなさんが応援する選手やチームがさらに活躍し成長していくためには、絶対ファンの存在と「ファンの眼」というのが必要だと思います。ある意味ファンが選手やチームを育てるのです。ファンが選手やチームを甘やかさないように導くべきだと思います。
 でも、そんなに肩に力を入れなくても、まずは、ゆるーく試合を観ることが大事だと思うんですよね。

① 応援するチームの「サーブミス」に落胆しないで

 サーブミスが多くても大丈夫。相手からのサーブからしっかり攻め返して得点するサイドアウトを確実に続けていけば、バレーの試合はそうそう負けないです。「サーブミスで試合に負けた」っていうコメントは疑った方がいいですよ。
 バレーボールの試合では、サーブはミスのリスクを背負ってでも積極果敢に打つべきです。ファンである私たちは、サーブミスに落胆してしまうと、選手にそのネガティブ・マインドが伝わってしまい、選手を委縮させてしまいます。むしろ「ガンガン打ってこい!」とか消極的なサーブにはブーイングを出せるくらいがいいと思いますよ。

② どんな「サーブ」打ってるの?に注目

 とは言っても、サーブは全員がガンガンバシバシ打つだけが能じゃありません。サーブにもいろんな個性があって面白いです。まずは、パワーサーブ。強烈なジャンプサーブでサービスエースをもぎ取る瞬間はカッコいいですよね!
 もう一つ見逃してほしくないのが、クレバーなサーブ。一見緩く見えても、相手のセッターを大きく動かしたり、相手のクイックやコンビネーションアタックやシンクロ攻撃を封じる結果をもたらすサーブは、最大限の「ブラボー」をあげましょう。

③ 「ブロック」がチームの力のバロメーター

 6人制のブロックは、最大3枚。ゲーム中、どんな攻撃にもしつこく2枚や3枚のブロックができていれば、かなりそのチームの意図でゲームが進んでいきます。おそらくブロックが1枚になる場面が多くなってくると、そのチームは劣勢になると思います。
 ブロック1枚になった原因はどこにあるのか?その要因を探すのも試合観戦の楽しみ方だと思います。それが、相手の多彩な攻撃によりものなのか、それともブロック戦術の欠陥によるものか、どちらかを考えながら観れるようになると、もう解説者レベルに近づくと思いますよ!

④ パワーバレーボールに注目

 バレーボールのプレーには、高さ、パワフルさ、スピード、巧さ、ファインプレーなどいろんな見どころがあると思うのですが、まず注目してほしいのは、その選手の持つ力をフルに発揮できているかということ。
 例えば、スパイクで言えば、スピードやトリッキーなプレーもすごいけど、それをやっても、その選手がフルパワーを出力できていなければ、得点できないわけです。だから、高いところでフルパワーで打っているスパイクをみんなで称賛し、それができていない場面にはいつか相手が優位に立つかもしれないというセンサーを働かせて試合を観ると、展開が見えてくると思います。

⑤ ブロック VS スパイク

 対戦する2つのチームのブロックとスパイクの対決に注目しましょう!ある場面は力と力のぶつかり合いがあり、ある場面は相手ブロックを壊すための駆け引きがあったり、逆に相手の多彩な攻撃を封じてブロックの餌食にしちゃう場面があったり・・・。ブロックとスパイクのどちらが優位に立っている局面化に注目しましょう。
 特に、「ブレイク」を獲った際のプレーを分析するのに役に立つと思いますよ!これで、よく言われるところの試合の「流れ」の変わり目も見えてくるはず!

⑥ ターニングポイントを語り合おう

 バレーボールの試合って、すべてが先行逃げ切りの展開だけじゃありません。最初は様子をうかがう展開で1セット落とすも後半はそのスカウティングをもとに完封したり、細かいプレーで相手にボディブローみたいなダメージを与えて最後に追いつき逆転するなど、実はいろんな展開やシナリオが用意されています。
 だから、1セットの中にもいろんなターニングポイントが合ったり、5セットマッチや3セットマッチの中にもいろんなターニングポイントや転機があると思います。
 そのような潮目の変わり目が、いつどのような場面だったのか、誰のどんなプレーだったのかを探したり、みんなで語り合うのも楽しいと思います。そうするとファンとしてかなりバレーボールを観る眼も肥えていきますよ^^

⑦ セッターやリベロの「職人ぶり」にも注目

 どうしても、サービスエースや力強いスパイクの決定、ブロックのシャットアウトなどパワフルで熱狂的な場面に目が行きがちですが、そんな華々しいプレーの一つ前、二つ前のプレーにも目を配ってみましょう。そうすると、さりげないファインプレーがたくさん見つかると思います。
 「今の1点は」実は、その前のセッターやリベロのアシストが素晴らしかったからだ・・・そんな見方できるようになったら、バレーの会話もさらに広がり、盛り上がると思いますよ!

⑧ Aパスじゃなくても大丈夫

 「Aパス」とは、セッターの定位置にボールをコントロールし、セッターを動かさず安定した状態でセット(トス)させることを言います。時々、実況や解説では、「Aパスの精度を上げないとまずい」みたいなことを聞きますが、そんなことはありません。
 今のバレーボールは、セッターがある程度どこの位置にあっても、そこから安定したセットをすることが当たり前に要求されています。「Aパスでなければ」という情報を耳にしたら要注意です^^
 ネットでは海外の選手の試合がたくさん見られます。みんなネットからやや離れた位置からも自在にクイックやパイプ攻撃を繰り出しています。実況や解説にツッコミを入れれるようになったら、もうバレーボール観戦初心者じゃないですね^^

上にリンクを貼った試合は、バレーボールの試合を観るうえでは、大変参考になるというか、観ながらいろいろ話し合うには、とてもいい教材になると思います。

よく戦術ヲタなどと言って、専門用語を駆使して難しそうな話をする人々を揶揄することもあるようですが、何も専門用語をしらなくても、バレーボールの試合を深く味わい楽しむことはできます!

ぜひ選手のアイドル性やカッコよさを入り口に、「バレーボールそのもの」を楽しみ応援するファンが増えてほしいと願っています!

(2018年)