バレーボールは指示を待てない・・・なのに・・・
選手に介入しやすいインドア・バレーボール
サッカーやバスケットボール、ラグビーなどでは、選手たちやボールがめまぐるしく動き、息つぐ間もない展開が繰り広げられていますが、フィールドが広く、コーチやベンチからの指示(声)が届きにくいです。
野球は、サインを出すなど指示を出す時間は確保できますが、その分、扱うフィールドがとても広い。なので、逐一、コーチの声で全員を操作することはできません。
それに対して、バレーボール(インドア)は比較的スペースが限られていて、コーチやベンチからの声が届きやすい。しかし、バレーボールも選手やボールの動き、ゲームの展開はめまぐるしく動いているわけです。
ですから、本来は、「いちいち指示を待っている余裕などない」ということになるのですが、コーチの声が届きやすい分、選手がそこに依存しやすい、または影響を受けやすいという側面があるのでは?と感じています。
コーチと選手の距離感の他にも、バレーボール(インドア)では、
・フィールド種目よりも狭いスペース
・選手の密度
・ラリーとラリーの間に必ずインターバルがある(サーブまでの8秒間)
こういった環境があり、
コーチは、選手に介入しやすい状況があります。
指導方法やコーチングスキルへの影響も
ラグビーのトップレベルの試合などでは、試合が始まったらヘッド・コーチ(監督)は、スタンドで試合を観ている様子がよく見られます。
フィールド横にいてやれることよりも、戦況の全体、展開の全体像を観ることの方が大事だと考えられているそうです。
コーチ(監督)と選手の距離 というものと、
チームの自立、選手の自立には、
それなりの因果関係があるのだと思います。
日ごろから、コーチが言うことに従うことが染みついていて、行動の多くが、それによって遂行しているような場合は、コーチへの依存が強くなります。選手が、ベンチの表情を気にして、ベンチを見るという場面も見受けられます。
でも、サッカーやバスケ、野球では、そんなことあり得ません。
見たくても見れませんからね。(笑)
しかし、そんなサッカーやラグビー、バスケや野球においても、選手に対する暴言や体罰、ハラスメントの問題は絶えません。バレーボールも言わずもがなな残念が状況です。
このコーチと選手の距離感は、バレーには独特な特性があるのかもしれません。それによってなかなか指導体質が変わりにくい側面があるのかもしれません。
生かすとすれば、コーチとチームの一体感、指導力や采配の見せ所、となると思いますが、弊害としては、コーチ依存、またはコーチは選手の自立を奪う危険性がある、ということにもなりえます。
選手の指示待ち、思考判断力の低下、育たない自立性、脆弱なコミュニケーション能力・・・。
バレーボール(インドア)でも、時々、ラグビーのように、
試合は選手に任せて、コーチはやや離れたところからゲームを俯瞰する機会があってもいいのかも知れません。
よくある、怒って出ていくということではなくて(笑)
こういった部分でもやはり、アスリート・センタード・コーチングの原則は、バレーでは特に確認していかねばならないことなんだろうと思います。
インドアバレーは、ビーチバレーから多くを学べるはず
同じバレーボールでも、ビーチバレーボールは、ゲーム(試合)では、コーチはコートの外にいます。ですから、ゲームにおける判断は選手に委ねられます。コーチは観察に徹しています。
ゆえに、そのような環境や設定の中においては、選手や否応がなしに、指示を待つことはなく、自ら思考判断し、選手間でのコミュニケーションをしながらプレーやゲームを構築していきます。
インドアのバレーボールは、このビーチバレーボールの環境設定下における、選手が発揮しなければいけないスキルや育つ資質、それに対応しているコーチングスキルにもっと関心を寄せ、学ぶべきだと考えています。
よくインドアバレーのコーチは、大きな声でああしろこうしろ、何々するな、そして挙句には「考えろ」と声をかけています。しかしそんな声掛けがない中で高度な思考判断を主体的に発揮するビーチバレーのゲームや練習やコーチングは、インドアバレーボールを改善させる要素があるはずです。
(2015年)