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「ハイキュー!!」観たと言ってバレーを始める子たちに・・・

部活動でバレーボールに出会う子どもたちに

 中学に入学したバレー未経験者を集めて練習をはじめました。
今までにない、コンセプトで練習やチーム作りをやっていこうと思います。
全員バレーボールをやったことない子たちですが、
今はものすごく意欲があります。
多くが「ハイキュー!!」が好きでテレビやマンガをよくみているそうです。
まだ、体育館での練習は5回もないですが、
練習が「楽しい」と言ってくれています。
ある男子生徒たちは、練習がない日でも、公園でバレーやってるそうです。
当初は家庭の予定のため、練習に行けないと保護者連絡があっても、
当日、本人が家族に頼んで予定を変えてもらい、練習に来ています。
今のような、モチベーションが3年間続けられたらいいなと思います。
でも、簡単に書いても、それはものすごく神経を使うことだなと、
個人的にはプレッシャーを感じます。
きっと、さまざまなハードルが待っていると思うのです。
なかなか上達が思い通りにいかず、我慢できなくなるとか、
試合で負けることが面白くないとか、
チームメイト内の人間関係とか、
勉強と部活の両立に対する保護者の支援とか・・・
そして何よりも、コーチする側の自分の忍耐が一番だと思います。
周囲のいろんな声にいかにブレずに、チャレンジを続けるか。
だから、常に「ありがたい」という言葉と「忍耐」という言葉を、
自分に言い聞かせるようにしています。

・プレーヤーズファースト
・モチベーションファースト
・リスペクトファースト

というコーチ側のアプローチのテーマと、

・ENJOY THE GAME
・THINK THE GAME
・LEARN THE GAME

という練習スタンスのテーマで
スタートしています。

FUNdamental~楽しむとは何か

「楽しさを教える」

とか

「楽しさを伝える」

とかに、最近は違和感をもってしまいます。
何か一方的というか、上から眼線というか何というか・・・って感じになります。

例えば、「バレーボールのたのしさ」 っていうことに、答えはあるのか?

スパイクが決まった時、キルブロック(シャットアウト)した時という人もいれば、
強打をナイスレシーブをした時、難しいボールを飛び込んであげた時・・・・
という人もいる。
勝った時が嬉しいという人もいるし、負けてもたのしかったという人もいる。
レフリーの立場からバレーの素晴らしさを語る人もいれば、
コーチングの立場から語る人もいる。
プレー経験のある人が言うことと、プレー経験がないファンの言うこともある。

そう考えると、「バレーのたのしさ」、しかもそれを教えたいっていうのは、
ちょっとどういうことなのかな?と思うわけです。

でもじゃあ、教えるとか伝えるということはいらないか?
そうともならないような気がします。
「教えてくれる人」や「伝えてくれる人」は、絶対必要だと思います。
つまりは、
教える、伝える・・・ということよりも、

「教わることがある」、「伝わることがる」 ということの方を意識した方が、いろんなことが見えてくるのではないか?と思ったわけです。
ではそれを導くものは何か?・・・
それは、それぞれいろんな立場や考え方、違うキャリアの人・・・それぞれが、とことん「バレーボールが楽しむ姿を見せる」ことに尽きるのではないでしょうか?
そうすれば、一人や二人、その姿に共感してくれたり、共鳴する人が出てくるはずです。そうやって広がっていくものなのではないかな?と最近思ったりします。

「バレーボールの楽しさは何か?」

人によって違います。いろんな楽しみ方があります。あるはずです。
まずは、それぞれが、「だから私はバレーが楽しい!」ということを、言えればいいのではないでしょうか?
ですから、何もおそれず 「自分なりの楽しさを表現できる」、「それを認めあえる」というのは、ひとつのキ―なのかもしれません。ミーハーだろうが、コアだろうが、いいじゃありませんか?「バレーの楽しさ」の前にはみな平等です。
もう一つは、「喜びを共有する」、「楽しさを分かち合う」というのもバレーの良さであるような気がします。これも立場や価値観が違ってもできますよね。一点とった喜びは、いろんな見方考え方の人が重なり合ってなされるものです。だから分かち合えます。勝利なんてまさにそうですよね。

何か、頭でっかちになりすぎず、「バレーの楽しさを教えたい」「バレーの楽しさを伝えたい」ということより以前に、思い切りバレーを楽しんでいるか、そしてそのありのままの自分の姿やライフスタイルを表現できているか・・・そんな見方をするのもたまにはいいんじゃないかと思います。

モチベーションや楽しむことにも段階が

先ほどから「モチベーション」ということを意識しているわけですが、
現時点の生徒たちの「楽しい」という気持ちは、
失わせたくないと思う一方で、
徐々にレベルアップというか、より高めてけるようになればいいなと感じています。
今の「楽しい」が、別のレベルでの「楽しい」ステージにするためには、
どうすればいよいか?いつ、どのような仕掛けが必要なのか?
そういった視点で慎重に取り組もうとすることは、
自分にとって今までにないチャレンジです。
動機やモチベーションというのは、変容していくものだと考えています。
その変容が、より質の高い方向へいくようになるためには・・・?
よく、マズローの5段階欲求とか言いますが、
今考えているのは、

(第1ステージ) 楽しみたい、活動が楽しい集団
(第2ステージ) 上手くなりたい、がんばる集団
(第3ステージ) 勝ちたい、目標をもって達成しようとする集団
(第4ステージ) 失敗もおそれない、何よりもバレーを練習したい集団
(第5ステージ) 上のカテゴリでもバレーしたい、バレーが生活の一部な集団

こんな感じの、変容を期待していきたいなとイメージしています。
肝心なのは、絶対に指導する側が強要や強引に引っ張らないこと。
かといって、現状で良しとはならないように、さまざまなヒントや布石をうつこと。
自然と、シフトアップしていけるような、選手との交流を工夫すること。
ステージを飛び級することはできないと考えています。
だから、焦らないことが大事です。
でも決して、やらせっぱなし、放任にはしない。
本当に、むしろ神経をつかうチャレンジがはじまったと思っています。

(2015年)