内田裕也の訃報
今朝方飛び込んできた訃報。79歳と聞いて、年齢より若くも老けても見える気がする。
特に氏について思い入れがあるわけでもなく、トピックとしてあげるのも憚られるような気もするのだが、思う所あって筆をとってはないか、キーボードをぱたぱたと打っている次第である。
ご存知のとおり、この半年前には妻の樹木希林を失くしている。
この訃報を告げる報道期間の中には「後を追うように」という表現を使っているところがあった。
僕もそんな印象を受けた。
女性に先立たれた男というのは弱い。
統計をみたわけではないので、本当のところはわからないがそんな印象がある。
実際にどのような最期だったのかは、遺族や近い人間にしかわからない。だが、ニュースでちらっとみた樹木希林葬儀の際の映像を思い起こすと、憔悴しきったように見えた。
後を追うように亡くなるというのは、どういうことなのだろう。
精神的な衰弱と肉体的な衰弱がある程度リンクしていることはわかるが、それが死に至るというのは、想像の範囲外である。
これは僕がまだ30代半ばで、想像力が貧困だからわからないという部分も大いにあるだろう。
キルケゴールは「死に至る病」の名を絶望と書いたが、深い深い絶望がそこにあったのだろう。
同じ景色を見ているものが、この世から消えていくことが受け入れられない。そんな感情が、死へと追いやったのだろうか。
それほどまでの、「後を追うように」と表現されるまでの絶望。それを感じられる伴侶を得られたというのは、幸せことなのだろうと思う。
ご冥福をご祈念いたします。
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