夢みる頃がおわっても 番外編/帯裏の秘密と僕が愛しておくれになるまで その2

続きです。その1を要約するとバンド辞めて、音楽から離れ、飲んで遊ぶだけの暮らしをしていたけど、なんか物足りなくて、モヤモヤしてました。


その2は、なかやまからの一本の電話からはじまります。



なかやま
「コピーバンドのイベント出るからギター弾いてよ」


コピーするのは大好きなGOING STEADY。僕の人生を大きく変えたバンドで今でも峯田和伸の憧れと呪いがとけない大人な僕。遊びでやるならいいか、とOKした。


当日のライブはやりたいようにやって、見ず知らずのおっさんを支えてくれる人もいないのにダイブした。(さよならミオちゃんのやよいくん、ギークのやすさんが二人で支えてくれた、やさしい)


この日、ほしみは他のコピーバンドで、けんすけもアンコールで一曲だけ演奏することになっていて、たまたまグッバイフジヤマの3人がそろっていた。今となってはそれがなかったら、愛しておくれは誘われることもやることもなかったと思う。

終演後、ほしみとけんすけが、てぺ良かったよ〜、って言ってたのを覚えている。

僕はまたサラリーマンの日常に戻り、それから一週間がたった。あの日の夜、2本目の電話。夜ご飯食べ終わってすぐくらいで、それもなかやまからだった。

なかやま
「ルー辞めることになったから、グッバイフジヤマ辞めるわ。新しいバンドやるから、ギター弾いてよ」

それはいつも変わらないなかやまだった。嘘のないいつものなかやま。

僕は急な話しすぎるのと、本気でバンドをやる怖さで、すぐには決断ができなかった。「なんとかなるっしょ〜」となかやま。とりあえず、明日、会って話そうってことで電話を切った。

電話を切ってすぐ、間髪入れず3本目の電話。今度はほしみだった。

ほしみ
「やぁやぁ、電話なんて珍しいよね。ところで、ルーが辞めることになって、新しいバンドやることになるんだけど、てっぺいギター弾かない?」

僕はさっき、なかやまから電話があったこと、全く同じことを言われたことを伝えた。僕らは2人で大笑いした。

そのとき、自分の心の中で「カチッ!」って音が鳴った。確かに鳴った。そしてその瞬間、思った。


「あー、俺はまたバンドをやることになるんだなぁ、、」


そのとき僕は心に決めた。バンドやるんだ、って。それも大好きなパンクロックってやつを。

翌日、渋谷のロイヤルホストでご飯食べながら、今後のことを話した。そこからは怒涛の曲を覚える日々。一気に12曲くらいコピーしたけど、大好きでいつも聞いてた楽曲たちばかり。ほとんど覚えていたので、苦ではなかった。

そんなこんなで、見放題東京2019を皮切りに、グッバイフジヤマラストツアー、愛しておくれ活動開始となる。その間、精神的なところからくる体調不良でぼろぼろだった話しはまた別のときに。


運命なんてない、と思っていたけど、あの日あの瞬間ほど、運命を感じたことはない。まぁ、運命に頼ったのかもしれないけど。日々を暮らす中で感じる喪失感。僕はやり残したことがライブハウスにまだあって、呼び戻されたのかもしれない。


『ロックを知らなかったら、普通に結婚して、もっと普通に幸せだっただろうに。』

未だにバンドをやること、ライブをやることは特別なことだ。日常のようにライブをやれたらいいな、とも思うけど、ライブ前はいつも目を閉じて、想像する。

ステージで無我夢中でギター弾く、叫ぶ、暴れ回る、僕の中の憂鬱が消え去る瞬間。それは僕の憧れるパンクロックの姿そのもの。それはずっと特別なものだ。

今もそれはずっと変わらない。

帯の話し、どこに行った。次回書きます。

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