【せたがや図鑑】NPO法人シニア・コミュニティ
せたがや図鑑で、せたがやの高齢者の活動について調べているしんたろうです!今回は世田谷区砧で活動するNPO法人シニア・コミュニティについて調べました。キーワードは、高齢者同士の共助です。
1.シニア・コミュニティの取り組み
シニア・コミュニティは「高齢者自らが、日常生活で困っている同じ高齢者に手を差し伸べ、“生きがい”のある日常生活を共に作り出す」という強い想いを持って活動する団体です。
シニア・コミュニティには、買い物代行サービスと移動販売サービスの2つのサービスがあります。
(1)買い物代行サービス
買い物代行サービスとは「商店街に買い物に行けない高齢者の方が必要な商品を事前に電話またはメールで注文し、翌日に配達する」というサービスです。
シニア・コミュニティが行っている買い物代行サービスでは、配達経費は商店街が負担し、商品の注文受付及び配達はシニア・コミュニティのスタッフが実施している点が特徴です(図表1)。
(2)移動販売サービス
移動販売サービスとは「商店街で売っている日常生活商品の主な商品を車に乗せ、団地や地域の中で一時的に出前商店街を開設し販売する」というサービスです。
シニア・コミュニティがおこなっている移動販売サービスでは、協力店舗の発掘やPR等を商店街が行い、移動販売や商店街からの商品調達をシニア・コミュニティが商店街から委託されています(図表2)。写真1と2は、陳列されている商品です。
2.活動のきっかけ・経緯
今回、このNPO法人シニア・コミュニティで代表理事を務める梅田さんにお話を伺うことができました。
ーーこのNPO法人シニア・コミュニティを設立したきっかけ・経緯は何ですか?
”買い物難民の高齢者を支援したい”という想いから始めました。私はもともと「世田谷区商店街連合会」におりまして、日頃買い物にきていたお客様の高齢化によって地域の商店街の買い物客が年々減っていたことに気づきました。そういった中で買い物に行けない”高齢者のために何か力になれないか”と思い、商店街と連携しながら現在の活動を始めました。ここにいる人たち(スタッフ)はみんな、お年寄りに見えるかもしれませんが、心身共にまだまだ元気な人が多いですよ(笑)
3.コロナ禍での現状と変化
ーーコロナ禍での変化などはありますか?
コロナの影響により、高齢者でも多くの人が外出することを控えるようになったことを感じます。商店街でも買い物客が減少傾向にありますし、コロナの影響を日々感じています。
そういった中で、最近では世田谷区商店街連合街と協力して”出前商店街事業”を実施しています。この出前商店街事業とは私たちの団体が行なっている「買い物代行サービス」と「移動販売サービス」を併せた”総称”であり、これまで商店街を利用されていた足腰の不自由なお客様のために取り組んでいます。
また、この出前商店街事業では単に買物サービスと移動販売を別々に運行しているわけではありません。買物困難者を対象として福祉関係機関とも連携しながら行っています。現在は1回につき1000円弱の赤字となっていますが、求める人がいる限り続けていきたいと思っています。
4.今後、高齢者が安心して暮らしていくためには
ーー今後、高齢者がさらに安心して暮らしていくためにはどのような工夫が必要だと思いますか?
現状、買い物難民のための仕組みが東京都や自治体で整っていないということが課題だと思います。現在、私たちは、毎週木曜日に5つの場所を移動しながら販売活動を行っていますが、このようなサービスを必要としている人や場所はもっとあると思っています。コンビニやスーパーでネット販売なども行われていますが、正直高齢者に扱うことは難しいと思います。
また、コンパクトシティを作ることが多くの地域で進められていますが、結局少しでも歩けるという人は「元気な人」だと思います。それよりも「間近じゃないと手が届かない」「家から出ることが困難」という人に向けた活動を増やしていくべきだと思います。
5.おまけ・利用者の声(80代女性)
ーーこのサービスをよく利用されていますか?
はい。よく利用します。パンが大好きで、よく買いに来ます。商店街の美味しいパンを食べられるのがすごく嬉しいです。私のように足腰が不自由なお年寄りは、外に出てもあまり遠くには行くことができないので、間近でこういう活動をしてもらえるとすごくありがたいです。
6.支える側と支えられる側
総務省統計局が国勢調査や人口統計から算出した1950年〜2040年の高齢者人口の割合を表した資料「高齢者人口及び割合の推移(1950年〜2040年)」によれば、現在の高齢者(65歳以上とした場合)の割合は人口の約29%となっています(総務省「高齢者の人口」参照)。
これは若者1人ひとりが高齢者を支える負担の大きさを示しているといえます。今後、少子高齢化がさらに進んでいくとこの負担はさらに大きくなっていくでしょう。
だからこそ今後私たちが大人になり元気であれば、高齢者同士で支えるということが必要になってくるのではないかと思います。
7. おわりに
今回はNPO法人シニア・コミュニティの活動を取り上げましたが、これは法人ではなく個人や地域でも取り組むことができます。
筆者は岩手県の山奥のド田舎出身だったので、住んでいた地域には年を取ったおばあちゃん、おじいちゃんしかいませんでした。それでも自分たちの畑で育てた野菜やお米をお裾分けしたり、一緒にご飯を食べたり、そんな生活がとても暖かく充実していました。
IT化が進展していく中で忘れていってはならないことは「人と人との関わり」だと思います。困ったときには助け合い、頼り合い、誰かに手を差し伸べてあげられるような心が必要だと思います。今回、NPO法人シニア・コミュニティを取材したことでそう私は感じました。
NPO法人シニア・コミュニティで代表理事を務める梅田さん、取材にご協力いただきありがとうございました!
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