【せたがや図鑑】せたがやこどもフードパントリー
せたがや図鑑で、こども関係の市民活動・地域活動について調べているけんたろうです。
今回は、せたがやこどもフードパントリー実行委員会・共同代表であり、NPO法人せたがや子育てネット代表の松田妙子さんにお話を伺いました。
1.せたがやこどもフードパントリーとは?
ーーフードパントリーについて教えて下さい
せたがやこどもフードパントリーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により生活が困窮している家庭の子どもたちに、食料を無償で提供する活動です。
JANPIAから、セーブ・ザ・チルドレンを通していただいた助成金や寄付金を活用して、各家庭に配布する食品を購入しています。また、直接農家さんから農産物の寄贈があったり、Amazonの欲しいものリストを活用して食品を寄付してくれる人もいます。
ーー松田さんが、フードパントリーを始めたきっかけは?
私は地域子育て支援子育てコーディネーターを務めていますが、この仕事は、地域の人の個別の困りごとを解決するだけでなく、地域にないものは一緒に作っていくものだと考えています。フードパントリーも「ないなら作ればいいじゃない!きっとほかにも、このような支援を望んでいる人がいると思うし」という感じで始めました。実際に、世田谷区には生活困難層の子どもが10人に1人(率にすると1割、人口にすると約12000人)いると知り、鳥肌が立ち、そのようなことにもアンテナを立てようと思うようになりました。
2020年の春は、新型コロナウイルスの影響で学校が一斉休校になって、子育てひろばもお休みになり、子どもたちがどのように過ごしているのか気になりました。休校が長引きそうだと感じたので、給食を支えにしていた家庭や、昼間両親が働きにでていて子どもだけで過ごしている家庭に向けて、お弁当を配ろうと決めました。
2020年4月14日に、第1回目のフードパントリーを行いました。世田谷、北沢、烏山、玉川の4か所の拠点で、週1回ずつ、弁当と寄付された食材の配布を行いました。
コロナ禍でピンチの飲食店がテイクアウトを始めていたので、おかずを注文しました。その時に、お弁当屋さんが「どんなメニューが喜ばれているのか教えてください」と聞いてくれて「中高生はお肉ですね」と言うと、頑張ってお肉を入れてくれました。
2020年4月14日から6月19日までの期間に、約150家庭300人以上の子どもたちに、3300食を提供しました。ただ夏になると、弁当の保存状態が悪くなりやすくなると思い、それ以降は食材の配布のみに切り替えました。
ーー現在のフードパントリーの活動はどんな感じですか?
いまは、地域ごとにある子育てひろばと事務所の4か所を拠点に、フードパントリーをやっています。それぞれのひろばのスタッフやボランティアさん5~6人でチームを作って活動しています。私と、子どもの同級生のお母さん、もう1人の3人が、せたがやこどもフードパントリーの共同代表で、この活動の中心になっています。
この活動を始めるにあたり、友人でソーシャルワーカーの根本真紀さんに相談したら、Amazonで「欲しいものリスト」を作って協力をよびかけるといいよと教えてもらいました。早速リストを作ってSNSで協力をお願いしたところ、コロナ禍でテレワークの人が多かったこともあって「欲しいものリスト」は大ヒットで、本当にたくさんの食品が入った段ボールが事務所に届きました。
2020年7月からは、お米や野菜、フルーツなどを中心にまとまった量の食材を、月2回、週末に提供しています。最初の頃は、食料を取りに来た時に、みんなすぐ来て、すぐ帰っちゃうんですけど、活動が長くなってきて、少しずつ話すようにもなりました。お米を送ってくれる人や、ジャガイモを送ってくれる人など多くの寄付をして頂きました。
食品を配布する日は、スタッフが各拠点にある食材を子ども用と家庭用に分けて袋詰めします。拠点によって異なりますが、40~130人分の袋詰めは地味で大変な作業です。
利用者からはメールで
「コロナの影響で食費はかさむけど収入はがた落ちです。助かりました」
「お菓子や果物は後回しになるので、子どもが喜ぶ顔が、見られてうれしい」
「食べ物がもらえること、定期的に行く場所がある安心感みたいなものがありました」
「意外に多くの人が利用していて、ハードルは高くないんだなと。支援を受けたければ受けていいんだなって思いました」
というメッセージをいただき、活動をやっていて本当に良かったです。食料があるって安心感に直結するんだなと、私たちもすごく励まされました。
フードパントリーで配布する食材の数には限りがあるので、高校生世代以下の子どものいる、特に食を必要とする世帯(ひとり親世帯、多子世帯など)を対象にしています。
ーーフードパントリーではどのような人が活動をしていますか。
子育てひろばのスタッフやボランティアさんなど多くの人が協力してくれています。役所の担当者が週末にボランティアで来てくれたり、主任児童委員さんが応援に来てくれることもあります。
そのほか、ボランティア協会の人たち、配送などを手伝ってくれる人、私がスーパーで配布用の食材を大量に購入したときに、車まで荷物を運んでくれる人など、様々な人によって支えられています。
ーーフードパントリーにかける思い
私たちは、寄付や助成金をもらって、フードパントリーを夢中でやってきました。前々からフードパントリーをしたいと思っていたけど、腰が上がらなくて…コロナをきっかけに始めたけど、これは対処療法的ではなくてずっと必要な仕組みだと感じています。なぜなら、フードパントリーを必要とする人が、世田谷区に1割もいるからです。どんなやり方がうちの町にあっているのか、制度や計画はどうなっているのか調べたり、担い手を増やすにはどうしたら良いかなど話し合うことが必要で、少しずつこのような取り組みが様々な場所でも広がっていくと嬉しいです。
今やっている おでかけひろば も地域子育て支援コーディネーターも、このようにしてやってきました。ほっとけないと子どもを預かるところから始まって、仕組みに変えていく。もちろん行政も子どものための施策を考えるけれど、そもそも私たちが自分の地域の子どものことをやっていくのが基本なんじゃないかなって思っています。
2.さいごに
私は、以前から、メディアで頻繁に取り上げられていたフードパントリーに興味がありました。今回、松田さんとつながることができ、活動に参加することができました。また、松田さんと活動をともにすることで、活動に対する思いを知ることができ、とても勉強になりました。
これからも、継続的にこのような活動に参加していきたいです。
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