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夜明け前ビート #1
Ah ieba köh-iu.初オリジナル楽曲「夜明け前ビート」リリースに伴って、今回この曲に関して少し文章にしてみようと思う。
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僕はAh ieba köh-iu. というバンドでギターを弾いている。呼び方は、ああいえばこういう、である。2020年、日常生活がこれからどうなっていくかわからない中、高校生の頃からの夢であったオリジナル曲を演奏するためのバンドを組んだ。
この度そのAh ieba köh-iu.から「夜明け前ビート」という曲をリリースした。
この曲を書いたのは1年前のこと。まだ当たり前に2020もこれまでのように過ごせると思っていた頃、深夜、寝ようと布団に入り、目を瞑り、もうまもなく夢の中に潜ろうとしていた時に、この曲のイントロが頭の中に鳴り出した。
ちょうどこの頃、バンド結成の話が進んでいたこともあり、そのバンドで演奏する曲を書こうと考えていた。そのため、夢の中行きの列車を乗り過ごし、改札をくぐって現実世界に戻った僕は、近くにあったスマートフォンにそのメロディを吹き込んだ。
鳴り出した音楽はそう簡単には止められない。深夜に思いついたから「深夜」と安直な考えで名付けられたフォルダに次々と吹き込んでいった。イントロから走り出した曲「深夜」はAメロ、サビと少しずつ形になっていった。
さすがに時間も時間だったので細かいコードの確認などは明日、いや、もう今日か、どちらでもいいが起きてからにしようと決め込み、その夜は気持ちよく寝た。
翌朝目覚めた僕はギターを手に取りこの曲にコードをつけた。時によっては、なにぶん声だけの録音のため、寝る前の自分が一体何を作りたかったのかわからなくなっている場合もあるのだが、この時は起きてもまだ僕の中でこの曲が鳴っていた。したがってこの作業はスムーズに行うことができた。
その日から2日間、忙しかったのか、はたまた忘れていたのか、この曲に触れた痕跡がなくなるが、2日後アレンジなどを決める作業をし、その日のうちに現在の大元になる音源が完成した。
当時のメモを見返すと細かくアレンジのメモがされていた。この日、歌詞も同時に書き上がっていた。「夜明け前ビート」という名と共に。
以下は夜明け前ビートの歌詞である。
深く深く刻む針の音
正体は見えない闇の末
目を閉じて見える世界へはまだ
行ける気配などはしないのだ
具象性は崩壊する
開いた手の上で踊り明かそう
そうさ悲しみを置き去りにするほどのダンスを
右も左も上も下もなくなるような
ビート心の中鳴っている
独り漂う悲しみの上
果てはないのに泳いでいる
開いた手の上で踊り明かそう
そうさ街中の明かりかっさらう夜明け前に
二人でならできる気がしてるんだ
ボクと君に継なぐストーリーで
「それじゃあまたね」
そう言って手を振る
君がやけに悲しそうに見えたんだ
ボクハジカンヲウランダ
深く深く刻む針の音
正体は見えない闇の末
この曲が鳴り出したのが深夜でなければ、おそらくこういう歌詞にはなっていなかっただろう。そして、吹き込んでいなかったら、そもそもこの世界にこの音たちは出てこなかったかもしれない。
あの夜、列車を一本乗り過ごして良かった。
(次回へ続く)