スピルバーグとキングからリチャードへ
『グーニーズ』を見た。
こちらの十代の若者たちが言うところの「『グーニーズ』も見ていなかった、ださい日本人」の私は、どうやらスティーヴン・スピルバーグとスティーヴン・キングを混同していたことに気がついた。
スティーヴン・キングといえば、『ミザリー』や『シャイニング』のイメージがあったので、そうか昔はこういう本を書いていたのかと思って途中まで『グーニーズ』を見ていた。
でもあまりにも違う気がする。
一瞬ビデオを止める。
「ちょっと待って、『E.T.』の監督は……」
「スピルバーグですよ」
「……」
「『ジュラシック・パーク』もですよ」
「……!」
物語がスタートして1時間ほどしてからようやくだ。
あぁこれはスピルバーグ監督の映画なのだなということを理解した上で、落ち着いてストーリーに集中することができた。
しかし、見終わってから調べてみると『グーニーズ』の監督はリチャード・ドナーという人だった。スピルバーグ氏は製作総指揮とある。
何から何までださい私だった。
肝心の映画は、大満足の一本だった。
しかも、スペイン語が物語の鍵を握っている。
もしご覧になっていない方がいらっしゃったら、雨の日の夜なんかにいいかもしれません。
そして、この映画を見てから『ストレンジャー・シングス』を見たら、もっと面白かったのだろうと思った。
見る順番を間違えていた私は、やっぱりださいのである。
後日、若者たちに報告をした。
「そうそう、この間『グーニーズ』見たよ!」
「おぉ! やっとか!」
感想を話していると、彼らの私を見る目が変わった。
これは「ださい日本人」から「まぁなんなら時々は俺らの仲間に加えてやってもいい日本人」ぐらいに昇格したサインだろうか。
そして私は十分大人であるから、監督は彼らが言っていたスピルバーグではなく、リチャードだったよということは言わないでおいた。