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コロナウイルス体験記 ~新卒22歳男、一人暮らしが生きた記録~ 1日目

それは突然起きた。驚くほどに一瞬で世界が変わったような気がした。



新卒で大阪の企業に就職、4月から実家を出て初めての一人暮らしが始まった。慣れない土地で、慣れない一人暮らし、慣れない仕事。たくさんの人に支えてもらい、心配をかけ、大切にしてもらえていたと思う。

8月19日の夜。布団の位置を変えて、ちょっとエアコンの風が当たって寒いなと思いながら就寝。その翌日(20日)早朝の5時過ぎに喉の痛みで起きて、水を飲んでまた寝た。その後、出勤前に体温を測ると平熱でそのまま出社。昼休憩後から明らかに体調がおかしいことに気が付き、先輩に伝えて早退させてもらった。そのまま家に帰りロキソニンを飲みひと段落、そこからは布団の上で寝続けた。これが20日の早朝から昼過ぎまでの行動である。

次の日の21日、朝起きても熱は下がっておらず変化なし。病院に行く判断をして、検査。その後、電話で結果を知らせてもらえたのだが告げられた言葉は「陽性です。」だった。聞いた時は信じられないという思いが強く、陽性という言葉の意味を理解するのに時間がかかってしまった。保健所の方に発症申請だとかを出して連絡があるのを待ってほしい、保健所の方もバタバタしていて手続きが遅れるかも、などなど説明してくれたが自分の頭の中には陽性という言葉がぐるぐる回ってあんまり入ってこなかった。本当に自分がなってしまったのか、どこで拾ってきたのか、何を間違えたのかわからなかった。


今思えば、非常によくないことをしていた。手洗いうがいは徹底し、外食はしない。マスクを常に着用していたが、都心部に靴を買いに行ったり挙句の果てにはジムに行き始めたりしたのが良くなかった。ジムの最中もマスクをしていたが絶対に安全という事はなく、そもそもその場所に行くというのが良くなかったと思う。

考えれば考えるほど出てくる後悔をつらつら書き綴ねても意味はないので、これを見ているであろう方々にお伝えすると、コロナは常日頃に貴方の真後ろにいる。今も貴方の身体に手を伸ばすどころかすでに触れているだろう。いつどこで、どんな事をしていても触れられている事に気が付いた時にはすでに手遅れなのである。自分はこの危機感が足りていなかった。

だからこそ、後悔しない選択をしてほしい。もっとはっきり言えば、死に物狂いで家から出ないでほしい。自分はこれからどうなるのかわからない。今は食べ物の味もする、呼吸も正常、体に目立った変化はないが、これからどうなるのかがさっぱりわからない。もしかしたら自宅療養になり、明日にでも味が感じなくなるかもしれない。もっと言えば一気に悪化して呼吸困難になるかもしれない。自分は一人暮らしで、すぐに頼れる人がいない。呼吸もできず話すこともできず、布団の上で悶え苦しみ、助けの電話もすることができなかったら?仮に電話がつながったとしても受け入れ先がない現状で虚しく死に絶える事もあるだろう。決して怖がらせようという訳ではなく、確実に今起きている現状がこれなのである。へらへら笑って過ごし、コロナ終わらないかなーと思い食べ物の買い出しに出かける。そんな日常でさえ自分にはもう簡単に戻ってこなくなってしまった。これからどうなるかもわからない。ただただ一人の部屋の中で先の見えない不安という同居人と暮らすことになってしまった。


これから保健所に連絡をしようと思う。自宅療養か宿泊療養かはたまた運良く入院か。宿泊療養となっても場所は選べないだろう。派手に夜遊びをしたり飲み屋に行ったりしてないという慢心が招いた結果である。この事実を粛々と受け止めこれからの事を日記にしていくだろう。自戒を込めて、警告も込めて。もし日記が途絶えたら、そういう事なのかもしれない。

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