Power BI -ドリルスルー#2 移動先ページでも時系列でデータを表示させたい場合

※ドリルスルーの設定方法について知りたい場合は、以前書いたこちらの記事を参考にしてみてください。

うまくいかない具体例

時系列のグラフを対象にドリルスルーをしようとした場合、思ったように動作しない場合があると思います。

よくある例が、以下です。

【元の時系列グラフ(ドリルスルー前のグラフ)】
「特定の時点」を右クリックしてドリルスルーすると、

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【移動先のページ】
本来は時系列の推移を見せたいのに、「特定の時点」絞られてしまいます。

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なぜうまく行かないのか

さきほどの移動先のページの「ドリルスルー」の部分をよく見ると、
Month、Yearが絞られてしまっていることがわかります。

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この縛りがなかったら、良いわけなのですが、
このレポートの構成では、ドリルスルーの設定を変更しても問題は解消できません。

ここで、「ドリルスルー」がうまく機能しない原因は大きく2つあります。

1.ドリルスルー元のページとドリルスルーした先のページの関係が包含関係になっていない

2.ドリルスルーの「すべてのフィルターを保持する」の「オン/オフ」設定が目的の表現に合致していない


今回の例は、上記原因の「1」に該当します。

ドリルスルーとは、より細かいメッシュで表現するための機能なので、
今回の例では、
ドリルスルー元のページのグラフのメッシュ(設定した軸)が、
「Sales」と「Year,Month(時間軸)」の掛け算で作成されたものであったのに、それと同じ「Sales」と「Year,Month(時間軸)」で作成されたグラフがドリルスルー先のページに設置されていたことが原因です。

よって、解決策は、
1-1.ドリルスルー元のグラフの構成を変える
1-2.ドリルスルー先のグラフの構成を変える
1-3.ドリルスルーするためのフィールドを変える
1-4.ドリルスルーを諦めて、ブックマークに切り替える

になります。


ドリルスルーの際のフィルターのON/OFF切り替えで特定時点の縛りをなくす方法

この方法を採用するためには、
ドリルスルーするためのフィールドが属性情報(Dimension Tableの情報)である必要があります。

どういうことかというと、

先の例では「Sales」をドリルスルーのフィールドとしていましたが、
この「Sales」は、「毎日(←時系列情報)」異なる値がレコードされたもの(Fact Tableの情報)であるため、
ドリルスルーする際にも、各日付の情報も併せて移動先のページにもってきてしまっていました(切り離せない)。

時系列情報とは独立した情報をドリルスルーのフィールドに持ってこないと、ドリルスルー元のグラフで選択した「特定の時点」の「Sales」に紐づいて(その「特定の時点」にしか、その固有の「Sales」は存在しないんだから )、ドリルスルー先のグラフでも「特定の時点」が表現されてしまいます。

具体的にはこのように解消します。

まず何を「ドリルスルーしたいのか」という目的を見直し、「Country」をドリルスルーしたい(=選択した特定の「Country」の詳細を確認したい)という、レポート閲覧者のニーズがあると想定し、
ドリルスルー元のグラフを変更します

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そして、ドリルスルー先のページでも、
ドリルスルーフィールドを属性情報である「Country」に変更します。

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最後に、「すべてのフィルターを保持する」を「オフ」に切り替えます(※これが大事です)。
ここを「オン」にしたままだと、「時系列情報」も含め、ドリルスルー元のグラフで選択した特定の値に紐づいたすべての情報を、ドリルスルー先のページにも持ってきてしまいます。

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これで、完成です。

動作を確認すると、
まずドリルスルー元のグラフで特定の値を右クリックし、ドリルスルーします

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ドリルスルー先のページを見ると、

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「特定の時点」に絞られずにドリルスルー先のページでもグラフが表示できました。


上記の例では説明の目的ため
”「Product」でも絞ったままドリルスルー先のページに移動したい”
というレポート閲覧者の想定ニーズを無視しましたが、
もしそうしたい場合は、
①ドリルスルー元のグラフ(右クリックする対象のグラフ)をProductxCountryのメッシュで作り直すか、
②ドリルスルー先のグラフをProductxCtounryのメッシュで作り直すことで
対応します。

①は、ドリルスルー先のページにもっていくフィルター情報を、全てドリルスルー元のグラフでレポート閲覧者に選択させる方法で、
②は、ドリルスルー元のページからはフィルター情報は1つだけ(「Country」情報)持ってきて、ドリルスルー先で改めてフィルタリングしてもらう方法になります。


以上になります。

ドリルスルーは設定は簡単ですが、
どのようにレポート閲覧者が操作したいと思っているのかを想定し、
グラフを含めた、より広い範囲(複数ページ全体)で構成を設計していく必要があります。

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