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お母さん語る――マインクラフトとうまくつきあう方法

マイクラにはいいところも悪いところもある

マインクラフトをこころよく思わない保護者の方はすくなくありません。
学校から帰宅するなり自室にこもってマイクラをやり、晩ご飯もそこそこに、寝るまでそれを続ける。宿題もいっさいせず、ひたすらマイクラをやり続ける。そんなことでいいはずがないだろう。マトモな感性を持つ親ならそう思わずにいられないでしょう。

TENTOで働きつつ、「マイクラ大好き」な中学生のお母さんもつとめる星あきこ先生に、「マイクラとのつきあい方」を語っていただきました。

星先生のお友達にも、マイクラ嫌いなお母さんはいるんじゃないですか。

「私はTENTOにつとめていることもあってマイクラ肯定派ですから、批判的な意見を直接聞くことはあまりありませんが、嫌っている保護者の方もいると思います。ご指摘のとおり、マイクラって中毒みたいにひたすらやり続けてしまうところがあるんですよ。子どもって限度を考えずに目の前にあるものに夢中になっちゃうところがありますよね。そういうのも関係してるんだろうなと思っています」

「ゲームは1日1時間とか決めている親御さんも多いですし、私も子どもにそう言うことがありますけど、聞いてもらえないことが多いですね(笑)。子どもの立場で言うと、マイクラをきちんとやろうとしたら1時間じゃ絶対たりないんですよ。マイクラは探究心を刺激するので、『あれをやりたい』『これをやりたい』となったら1時間で終わるはずがありません」

「マイクラはいろんなことができますが、バトルゲームなんかもあります。それをえんえんとやり続けるのは、フォートナイトとかスプラトゥーンみたいなゲームをひたすらやるのと同じで、得るものはあんまりないのかなあと思っています。親としてはあまり勧められないですね」

子どもが自分からクリエイティヴィティを発露してくれる

星先生の考えるマイクラのよい点はどのようなところでしょうか。

「子どもの創造性を伸ばしてくれるところです。たとえばなにか仕組みを取り入れたいとなったとき、コマンドブロックを組んだり、レッドストーン回路をとりいれたり、いろいろな知識が必要になってきますし、工夫が生かされることも多いんです。それは学校とか塾とかではなかなか得られない部分なんで、親としても子どもがそこに興味を持ってくれるのはとても嬉しいです」

「マイクラには試行錯誤があるんですよ。たとえば機能を追加できるMODを入れようとしたときに、うまくいかないことがあります。ソフトウェアどうしの組み合わせがよくないことが多いんですが、そういうときは、『このMODがうまく動かないのは、これが入ってるからじゃないか』『あれが悪さをしてるんじゃないか』と外したり入れたり。ネットで調べても情報が得られないときはその原因を自分でつかまなければなりません。……こないだウチの子は、メモリの増設について調べていました。『メモリを増やせばスルスル動くようだ』『ではどうやったら増やせるだろう』そういうことを全部しらべて、自分なりの結論を出してきます。それはマイクラの外にある部分ですし、そこに関心をもつのはすごくいいと思います。今はマイクラでつくった動画をYouTubeにアップしようとしていて、動画編集を勉強してますね。この前はJSONファイルをいじっていましたし、どんどん私のわからない世界に突入しています(笑)。……自分からそっちに興味を持ってくれるのは、とてもいいですね」

「マイクラって、うまく扱えるならすごくコスパのいいものだと思います。子どもに与えるオモチャとしては最高のもののひとつじゃないでしょうか。だから、友達のお母さんにもススメたりしていました。子どもが自由に創造力をふくらませて、町をつくりたいとか城を建てたいと考えてくれるのは、すごくありがたいことです。現実には自分の思いどおりに町をつくるなんて絶対に経験できないじゃないですか。マイクラの自由な世界でこそ可能なわけで、それを体験できるマイクラは素晴らしいと思います」

子どもの興味に親も関心を寄せてみる

こんな意見を聞いたことがあります。「子どもが何をやってるかぜんぜんわからない」と。実際、帰宅して自室にこもり、寝るまでマイクラやってたら、親がその様子を見ることはまずできないですよね。

「それは……親がよりそうしかないのかなと思います。会話の時間をつくって、何やってるか聞く。私はTENTOにつとめてますから比較的そういう情報が入りやすいんですが、たとえば『この動画でおもしろいことやってるよ』と教えてあげます。『なんでお母さんそんなこと知ってんの』と聞かれたりしますけど、自分の興味の対象と同じものに興味をもつ人が近くにいたら、子どもは話したくなると思うんですよ。いっしょに子供たちに人気の動画見たり、何をやってるのか説明を聞いてあげたりします。理想論だとは思いますが、私はなるべく無関心にはならないようにしています」

「親の子にたいする態度って、三通りしかないように思うんです。学校の勉強してもそうで、『そろそろ勉強する時間じゃないの』と言うにとどめるか、いっしょになって課題をやって、深く介入するか浅く介入するかです。あとは、子どもがしてることにいっさい関わりを持たず、まったくフタをしちゃって完全に放置するか。どの形が正しいのかはわかりませんが、私はなるべくいろんな話ができるようにつとめています」

「マイクラに深くかかわれるかどうかは、それを知る人が近くにいるかどうかですごく変わると思います。近くにマイクラ大好きなお兄さんがいて質問したりする。自分もそれにならってやってみる。すごくクリエイティヴなことですよね。そういう人が近くにいるとすごくいいなと思います。単なるバトルゲームでは終わらないマイクラの楽しみ方を知っているのはすごく大切なことです。……とはいえ、人には向き不向きがありますから、そういう世界を楽しめるかどうかは個人差がある部分じゃないかな。あんまりモノをつくったりするのが好きじゃない子は、楽しめないんじゃないでしょうか」

「マイクラばかりじゃないですが、子どもが興味あることに親が関心を示して、話を聞いてあげるってすごく大事なことだと思っています。大人って、子どもがしていることに興味を示さず流してしまいがちなんですけど、できるかぎりそうならないようにしようと思っています。鬼滅の刃などのアニメを見たり、YouTubeで子供に人気ある動画がどんなものがあるかも気にかけています(笑)」

星先生のお子さんは、帰宅してから寝るまでマイクラではないのですか。

「それは親の私がどうこうではなく、塾の先生にいわれたことが刺さったみたいです。『好きなことをやる前に、するべきことをやり終えてしまえ』それはけっこう重く響いたみたいで、友達と約束したとかがなければ、帰ってくるなりマイクラということはあまりありません。自分なりに節度を持ってマイクラに接しているみたいで、それはとてもいいことですね」

「もし、どうしても時間を守れずやるべきことができないのであれば、パソコンならMicrosoft Family Safetyなどで使用時間を制限するのも必要なのかもしれません。その場合、親が勝手に時間を決めるではなくできればお子さんと相談して時間を決められるといいかなと思います」

「最後に、マイクラ嫌いなお母さんたちには、マイクラで何ができるかを是非とも知ってほしいですし、お子さんと一緒に調べたりするのもいいかなと思います」


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