敷居を下げて楽しみを増やすこと
1週間ほどnoteを休んでいました。SNSからも少し離れて過ごしていて、リフレッシュした気がします。また気持ち新たに書いていこう。
わたしは、田舎育ちのコンプレックスのようなものがあって、例えばファッションやアートやデザインなど「文化的で都会的なものだ」という先入観を通して見ていたので、若い時、自分には敷居が高いなと感じていたことがある。
今では、それは思い込みであって、田舎も都会も関係なく、作り手の思いを感じとったり、ただ美しいな、などと思うことがまず大事であって、背景や歴史などを知らなくても、誰でも等しく楽しむ権利があると思うようになった。
さらに奥深く楽しみたい人や専門家として関わる人が、その先の背景や専門知識を持つのであって、その深度は比べるものでも、優越に浸るものでも、恥ずかしいと感じるものでもない。
それは、作る側になった場合でも同じだと思う。もちろん、作品を販売したり、賞レースなどでは比較され評価されるけど、こと趣味や生活の楽しみの延長線上でつくる分にはなんら他者の目を気にする必要はなく、どんどん作ることに挑戦したら良いと思っている。
ところで子どもたちは、まだ敷居を感じることがないので、なんでもやってみるし、思ったまんまの感想を話してくれる。大人になるまでの過程で、いつ敷居を感じるようになるのだろう。
常々、自分がどこかコンプレックスを感じていたからこそ、そんなコンプレックスや垣根を飛び越えて、一緒にアートやデザインを楽しみたいという思いがふつふつと沸く時がある。
触れれば触れるほど、もっと感動できるものが見てみたいとか、もっと満足のいくものを作ってみたいという欲が湧く。それはとても健全な生きる糧になる。
ところが、表現は「自己の満足」と「他者の評価」の表裏一体で、他者の評価に気をとられすぎると「いいね」や「フォロワー」などの数に絡めとられ、その数の多さが自分を満たしてくれるものになってしまい、思うような結果が得られないと落ち込んだりする。
ネット上での表現活動がどんどん強化される時代だからこそ、そこのバランスを意識する必要があるし、子ども達にも「他者の評価」を「自分の価値」とイコールにしないように伝えたいなとも思う。
2年前、参加者全員の作品を掲載する本のようなギャラリー「SOMEDAY Magazine」を企画した。有名無名、老若男女、プロアマ問わず作品を募集して、みんながコロナの自粛期間中に作る時間を楽しめたら良いなと思った。
本には、いいねもフォロワーの数も表示されず、評価のコメントも見えない。自分が純粋に好きだと思える作品に出会えるのが良い。もっと知りたい人だけが、巻末のプロフィールページから作者について探れるようにした。
今月末の4月29日は「旅するアトリエ」という企画を開催する。
駅前のスペースで、講師のアーティストと共に工作ワークショップを行う。第一回目のテーマは「あなたの旗と旅にでよう!」。一国の王様になった気分で空想の国旗をつくってもらい、街中を走るバス「ぐるっぴー」に乗って一周する。いろんな《国》が一つのバスに乗り合わせる。独自の国旗を見せ合う。違いを認めること、共存することが静かに体験できるかもしれない。それは密かな裏テーマでもある。
たくさんの人が集まってくれたら嬉しいとは思うけれど、数ではなくて、このイベントをきっかけに、普段工作をしない人が手を動かしたり、「もっとやりたかった!」と創作欲を感じたりしてくれたらいいなと思う。
そして、身近な所で活動するアーティストと出会うことで、作家活動は決して遠い世界の話ではないことを感じとってくれたら、子どもたちの未来も明るくなるのでは、と思います。