新しいソファクッション
「じゃーん、見て!見てー!どうだい!ステキでしょー!ママが僕らのために買ってくれたんだよー!」
と、いぬうた市の、きゅん君がとっても嬉しそうに、
紹介してくれたのは、新しいソファクッションです。
今まで、自宅の1階のダイニングルームの窓辺に置いたいた、
ソファクッションがもうだいぶくたびれてしまったので、
ママがある時ぶらっと入ったペットグッズショップで、
このソファを見かけて、即買いしたのでありました。
「ねっ、いいでしょー!寝心地も最高さ!今までのソファは長方形だったけど、これはまあるいんだ。だから僕が丸くなって寝ると、これがジャストフィットなんだよ」
と、ぐーちゃんより、きゅん君が特に気に入ったようです。
「このソファの商品名はラウンドドーナツベッドホワイトブラウンといって、ボリュームのあるフチに包まれて、あごのせしやすく寝心地が良いものなんだ。クーナというブランドの一商品でこれはスペイン語でゆりかごの意味である」
と、どこで聞いたか、きゅん君、
ウンチクを披露し始めましたよ。
そしてそのソファの心地良さのおかげか、
そのうちうとうととそのまま夢の中にー。
さぞかしいい夢を見ていることでしょう。
と思いきや、きゅん君には一点、
心に引っかかっていることがあって、
そのことが夢に出てきたのです。
「僕のことも忘れないで。僕のことも忘れないで」
と、暗闇からそんな声が聞こえてきます。
姿は暗くて見えませんでしたが、
きゅん君はすぐにその声の主がピン!ときました。
「あっ!この声はあのソファクッションだー!そういえばあれは一体どこにいってしまったんだろう?僕、アイツのこと大好きだったのに!」
と、飛び起きて家の中を探し回りましたが、
どこにも見つかりません。
「ママ、アイツのこと捨てちゃったのかな。だいぶくたびれていたから仕方ないのかな」
と、半ばあきらめかけた、きゅん君でしたが、
その日の午後、無事アイツとは再会できました。
アイツは何処にいたか?ですかって。
あんなに、きゅん君、家の中を探したのに。
って、アイツがいたのは何と車の中でした。
ママはこれからはアイツを、
きゅん君や、ぐーちゃんの車での移動の時に、
使おうと思ったのでした。
きゅん君は、その日の午後の、
ちょっとした車でのお出かけの時に、
まためでたく会えたのでした。
「よかった!よかった!これでこれからは家の中でも車の中でも、より心地良く過ごせるぞー!」
と、きゅん君、安心したのか、急に喜びが訪れて、
しかし、だからといって、きゅん君がそのソファを独占出来たか、というとそうでもなく、
「きゅん!退きなさいよ!今日は、ぐーがソファさんにいたいんだからー!
と、いつの間にか、ソファな快適さを知った、
ぐーちゃんとの場所の取り合いになったのでありました。