はなればなれに
おはよう。皆さん。
今日も目覚めのいい朝が来ましたね。
果たして、いぬうた市の、きゅん君と、
ぐーちゃんにも来たのでしょうか?
きゅん君は、どうやらまだ夢の中のようですが、
あっ、ぐーちゃんはたった今起きたようです。
おや?
ぐーちゃんの横にはハンバーガーの形のオモチャがあります。
きっと、そのオモチャをかみかみしながら、
寝落ちしてしまったのですね。
最近の、ぐーちゃんは、そのオモチャが大のお気に入りで、
そのせいかだいぶぼろぼろになってしまいましたが、
それでも、ぐーちゃんには、
そのオモチャがかかせないのです。
おっと、ようやくその、ぐーちゃんも、気付いたようです。
「あら、ハンバーガーさん。また、ぐーと一緒に寝て下さったのね。これは、これは、ありがとう存じます」
ぐーちゃん、まずはハンバーガーのオモチャにお礼です。
「おかげで、ぐーはいい夢が見れました。あなたも見れましたか?そういえば、あなたの夢って何かしら?ぐー、いつもお世話になっているから、是非叶えてさしあげたいわ」
そうやって、ハンバーガーのオモチャに、
楽しそうに語りかけている、ぐーちゃんです。
しかし、そんな、ぐーちゃんとハンバーガーのオモチャの蜜月の時を邪魔する者がおりました。
誰であろう、きゅん君です。
ある日、いつものように、ハンバーガーのオモチャと、
戯れていた、ぐーちゃんに、
「ぐーばっかり、そのハンバーガーのオモチャを使ってないで、たまには僕にも遊ばせろよ!」
と、言って、横取りしようとしたのです。
当然、ぐーちゃんは抵抗して、
ハンバーガーの取り合いで、引っ張りっこになりました。
「離してよ!きゅん!ぐーのハンバーガーさんに何するの?」
「何言ってんだ!これは、ぐーひとりのモノじゃないぞ!」
と、お互い譲らず、上と下のバンズが、
端っこでくっついていたのが、
とうとう、ちぎれて、ふたつになってしまったのです。
「あっ!ハンバーガーさんが!ハンバーガーさんが!」
そこから、ぐーちゃんは大泣きです。
そんな落胆する、ぐーちゃんの姿を見た、きゅん君は、
ちょっと気まずそうに、
「ハンバーガーだって上と下とで離れられて、せいせいしているはずさ」
と、言い放ちました。
これに、ぐーちゃんは劣化の如く怒ります。
「そんなことあるはずないじゃない。ハンバーガーさんは上の方と下の方で仲良くやってきたのに。それを引き裂くだなんて」
「仲良いって、誰が決めたんだよ。僕と、ぐーだって、始終くっついていたら、イヤだろ。だから、これでよかったんだ」
その苦し紛れに、そう言った、きゅん君の言葉が、
突き刺さり、ぐーちゃんは急におとなしくなりました。
黙り込んで何かを真剣に考えているようです。
きゅん君は、その雰囲気に、まずいと思い、
「ごめん。やっぱり僕が悪かったよ」
と早口で謝り、いそいそと、ぐーちゃんから離れました。
ぐーちゃんは、そんな、きゅん君にも気付かず、
うつむいたままです。
そして、ぽつりと言いました。
「そうね。きゅんの言う通りかも。ハンバーガーさんも、上の方と下の方が分かれて良かったのかな。もしかして、ハンバーガーさんの夢が叶ったのかもしれませんね。これでハンバーガーさん上下同士も、ぐーと、きゅんもケンカしないですむし」
そう言った、ぐーちゃんは、上のバンズを、
きゅん君に渡しに行きました。
どうやらこれで一件落着ですね。
でも、ひとつ疑問があります。
何故、ぐーちゃんは、上のバンズを、きゅん君に渡し、
自分は下のバンズを選んだのでしょうか?
それは、下のバンズにはハンバーグのパテも、
ついていたからに他ありません。
その辺は何ともちゃっかりしている、ぐーちゃんなのでした。
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