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新しい水入れ皿が来た!
いぬうた市は今日も平和ですね。
きゅん君も、ぐーちゃんも、
変わらない穏やかな昼日中を、
自宅でのんびりと過ごしています。
でもこれって、言い換えれば、
おふたり共ヒマっていうことですよね。
それも毎日毎日こんな感じですもんね。
その変わり映えしない毎日にモノ申すこと、
何かありますか?
「失礼だな。僕らの日常が変わり映えしないだって。そんなこと全くないよ。確かに一見そうは見えるかもしれないけど、僕らだって日々新しいことが起きたりはいろいろしてるんだよ」
あら、そうなんですか?
でもそれは本当ですかね。きゅん君。
じゃあ聞きますけど、今日起きた、
新しい出来事って何かあります?ぐーちゃん。
「もちのろんあるわよ。お本日最新の、ぐーのおウチニュースはね、新しい水入れ皿さんがいらっしゃったのよー!」
へえ、そうなんですか。
それはそれはよかったというか、めでたいというか、
よかったじゃないですか。
「あっ!バカにしてるだろう!僕らのこと。水入れが新しくなったのが、今日1番のニュースってことを。でもこれがバカにならないんだよ。何故ならその水入れ皿がステキだからさ」
と、最初は怒っていた、きゅん君ですが、
よほどその水入れ皿が気に入ったのか、
最後は嬉しそうに言いました。
「ママが選んだのよ。どう?形さんといい、お色の黄色さんといい、可愛いでしょう」
と、ぐーちゃんもすっかりお気に入りのようです。
でも前までのお皿はどうしたんですか?
あれもよかったではないですか?
すると、きゅん君、ちぃ!っと舌打ちをしてから、
「あれはこの間割れて壊れたんだよ。正確には割ったんだけどね。誰ってそれは飼い主さ。飼い主がうっかり割ってしまったんだよ」
といかにも残念そうに言いました。
「それはそうだけど、もうそれは済んだことよ。きゅん。これ以上そのことさんを考えても飼い主に対するお恨みが続くだけじゃない。それよりもこの新しくいらっしゃったお皿さんに気持ちを入れ替えたほうが、ぐー、いいと思うの。だってママがせっかく買って下さったんだから」
と、まだ前の皿への愛着が残っている、きゅん君に、
そうアドバイスした、ぐーちゃんです。
言われて、きゅん君、また新しい皿を、
改めて見直します。
そしてあることに気付いたのです。
「あっ、これも陶器だ!イヤな予感がする。絵が見える。ありありと見える。僕には!飼い主がまた割る姿が!」
そう、きゅん君が叫ぶと、ぐーちゃんも皿を見て、
「えっ、そうなの?このお皿さんも陶器さんなの?あなた、陶器さんなの?お願い、陶器さん、もう割れないでー!」
と、叫んで、そのあとはただただ、きゅん君も、
ぐーちゃんも、もう割れないでー!と
祈るばかりなのでありました。