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橋がない

今日は普段はあんまり来ない公園に、
ママや飼い主と共に車で訪れた、いぬうた市の、
きゅん君と、ぐーちゃんです。
「ここに来るのは久しぶりだな。でも雰囲気は、いつも行っている、いぬうた公園とちょっと似てるんだよね」
駐車場に着いて、車から降りた、きゅん君が、
開口一番そんなことを言いました。
確かに、きゅん君の言う通り、いぬうた公園は、
真ん中に池があって、その周りの道をぐるっと、
一周したりするんですが、今日来た公園も、
同じような造りであるようです。
「ママは左さんから周るかしら?それとも右さんからかなあ」
池のほとりまで行って、さて、どちらから周るでしょうか?
ぐーちゃんはどっちから周りたいですか?
「そうねえ、ぐーは左さんからかしら。パッと見て、何か左さんからの方がお道が広くて楽しいような気がするわ」
そうなんですね。
あっ、ぐーちゃんの希望は叶いそうですよ。
ぐーちゃんのリードを持ったママが、
左の道に向かいましたね。
なので、きゅん君のリードを持った飼い主も、
自然とそちらに向かいます。
「やったー!これは、ぐーの気持ちがママに通じたんだわー!」
と嬉しそうな、ぐーちゃんと、
「僕はどっちでもいいけどね」
とちょっと、ぐーちゃんの態度を見て、
シラケ気味の、きゅん君です。
それでもしばらくは平穏な感じで、
ふたりトコトコと歩いていましたが、
思った程、左の道が面白くないと判断した、
ぐーちゃん、池の向こう側に見える右の道を、
うらやましいそうに眺めます。
「ぐー、だんだん右のお道の方がよく見えてきたわ。今からあちらに行けないかしら?」
そう、隣を歩いている、きゅん君に言うと、
「いぬうた公園なら池の真ん中に橋があるから、ショートカット出来るけど、果たしてこの公園は橋があったか?なかったか?僕、覚えてないなあ」
と答える、きゅん君です。
「ぐーも覚えてないわ。でもここは是非とも橋さんあって欲しいわ。そして今すぐその橋さんを渡りたいー!」
と、橋を熱望する、ぐーちゃんでした。
しかし、公園の真ん中辺りまで来ても、
どうやら橋はありません。
「残念だな。ぐー、橋はこの公園にはないよ。今日はあきらめてこのまま一周するとしようじゃないか」
きゅん君は、そう、ぐーちゃんを諭すようにいいましたが、
ぐーちゃん、まだまだあきらめきれないようで、
でもそうこうしているうちになんだかんだで、
一周してしまい、では帰ろうか、
となっても、ぐーちゃんはまだ、
「もしかしたら二周目さんしたら、今度こそ橋があるかも。だから、ぐー、二周目さんしたーい」
と言い出す始末で、そこで、きゅん君は思いました。
「仮に二周するんだったら、今度は右回りすればいいのでは?今や、ぐーは橋にとらわれすぎて、初心を忘れておるな」
けど、そんなことは、ぐーちゃんに言わず、
結局、二周目もすることなく、
もやもやしたまま、ぐーちゃんは帰路に着くのでした。

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