エンリッチメントな午後
「やあ、僕は、いぬうた市の、きゅんだよ。えっ、ご機嫌はいかがかって?いやあ、もう最高さ。だって今日はとてもエンリッチメントな午後を過ごしたんだから」
と言った、きゅん君本当にめちゃくちゃ満足そうですね。
で、それはいいですけど、
エンリッチメントって、一体何ですか?
何か美味しい食べ物ですかね?
「何だ、エンリッチメントも知らないの?もちろん僕も知らないよ」
何だ。きゅん君も知らないのですか。
ではこちらで調べてみます。
えー、どうやら動物の飼育環境を豊かにするもの。
またはその行為。というらしいですよ。
なので今回のその、きゅん君がおっしゃった、
このエンリッチメントとは、ママが雨で散歩に行けない、
きゅん君と、ぐーちゃんのために考えた遊びの事ですね。
「そうだあ。そうだあ。まさにそれだあ」
そうですか。では具体的にそれはどんな遊びだったのですか?
「それはね。トイレットペーパーの紙の芯の中新聞紙を丸めたものなんだけど、新聞紙の中には何とフードが隠してあったんだ。だから僕も、ぐーもどっかにフードがある!って興奮して、トイレットペーパーの芯も新聞紙もぐちゃぐちゃにしながら中にあるフードを探す遊びだよ」
なるほど。それは嗅覚などを大いに刺激して、
さぞかし行動の多様性を引き出してくれそうですね。
「そうなんだよ!そう!そう!僕なんかすっかり引き出せられちゃったよね。そのエンリッチメントによって」
と、いまいちエンリッチメントの理解が怪しい、
きゅん君ですが、それはさておき、
きゅん君の実際の遊びの効果は大したものがありました。
ママからトイレットペーパーの芯を与えられると、
すぐさま紙の芯をバリバリ破り、
中に入っている新聞紙を取り出し、
丸められた新聞紙を前足で押さえながら、口でこじ開けて、
その中に入っていたフードを上手に見つけたのでありました。
さすが、きゅん君、食べ物が絡むと、
ここぞとばかりに実力以上の力を発揮しますね。
「まあねー」っと、こちらのイヤミに気付かずに、
得意げな、きゅん君でありました。
ではもう一方の、ぐーちゃんといえばどうだったでしょう。
直接、ぐーちゃんに聞いてみましょうか。
ぐーちゃん、ママが考えたエンリッチメントはどうでしたか?
「それはもう最高さんよー!このエンガチョットさんたらー!ぐー、これまで新聞紙さんがあんなに美味しいとは知らなかったー!」
と、エンリッチメントも間違っていましたか、
フードの匂いがついた新聞紙も美味しいものという、
間違った認識がどうやら刷り込まれてしまった、
ぐーちゃんです。
この調子ですと、エンリッチメントへの道のりは、
まだまだほど遠そうですね。
ねっ、ぐーちゃん。