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ここは海の中

今日も、いぬうた市は真っ青な夏の空です。
地上は暑く、風が止まって、空気は澱んで、
何だか息がしにくいです。
きゅん君が、自宅のベランダで、空を見上げていると、
空の色が何か別のものに似ているなあ。
と思いました。
何だろう?と、しばらく考えて、
きゅん君は分かりました。
真っ青な空の色は、海の色に似ていると気付いたのです。
空が海だとすると?
ここは今、海の底っていうことになるなあ。
確かに、水の中みたいに息がしにくいし、
そうか!ここは海の中の底なんだあ。
きゅん君は、この自分の思いつきに、
自分で楽しくなって、その時またまたベランダに来た、
ぐーちゃんにこのことを話しました。
それを聞いた、ぐーちゃんも、
「それは面白いわ!ぐーは今、海の中にいるんだあ!そしたら、ぐーはお魚ね」
と、嬉しそうに言って、
早速、魚のマネをした、ぐーちゃんです。
口をとんがらかして、腰を振って、
ひらひらと泳いでいるフリをします。
それを見た、きゅん君も一緒にやります。
ふたり、2階のベランダから階段を降り、
1階に泳ぎながら移動します。
ここが海の底だと思うと、いつも見ている家の中も、
何だか新鮮に感じます。
「ここは昔滅びた文明の海底遺跡だ」
きゅん君が今のシチュエーションを言うと、
ぐーちゃんもならって、それに合わせます。
「ぐーたちは海底探索隊ね」
魚から海底探索隊に変わった、
ふたりは遺跡を調査し始めます。
「ぐー隊長!、ここが旧王朝の豪邸のダイニングルームです」
「きゅん隊員、これは興味深い!隣はもしやキッチンかな?何か美味しいものでも残ってないかな?」
「探索してみましょう!」
そうして、ふたりキッチンに行って、何かないか?
と探していると、ママがやって来て、
「あっ、きゅん隊員!人魚を発見しましたんー!」
と、ぐー隊長が言いました。
そこで、ふたりは人魚に怒られて、
キッチン探索は中止となりましたので、
また、ふたりは、2階に戻りまして、
別の部屋の探索をするのです。
まだまだ、ふたりの探索は続きます。
どんな状況や場面でも楽しく遊びに変えられる、
きゅん君と、ぐーちゃんは遊びの探索隊でもあるのです。

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