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新しい客が来たら

いぬうた市は、きゅん君と、ぐーちゃんの家に、
今日、新しいお客さんが来ました。
どうやらママの友達のようです。
「どうする?きゅん。吠える?」
ぐーちゃんは、ぐーちゃんのお仕事でもある、
知らない人が家に入って来ようとしたら吠える。
という作業を行うかどうか思案中です。
とりあえず、きゅん君に聞いてみました。
「そうだな。一応、僕らの仕事だからね。いくら、ママの友達と言ってもね」
きゅん君は戸惑いながらも、
自身の仕事を決行するつもりでした。
そう言っている間にも新しいお客さんは、
玄関の扉を開けて、家の中に入って来ました。
わわわわーん!
早速、けたたましく吠えるふたりですが、
実はちょっと遠慮気味なのです。
「ホント、ごめんなさいね。ママのご友人だと知っていながら、これが、ぐーのお仕事なんで失礼ながら吠えさせて頂きます!」
と、ぐーちゃんは言っており、きゅん君に至っては、
「僕はどうかと思ったんですが、ぐーがどうしても吠えると言うもんですから、全部ぐーが悪いんです!」
と、完全に、ぐーちゃんのせいにする、きゅん君なのでした。
この、きゅん君の物言いに、
ぐーちゃんは、かちんときました。
「ちょっと、きゅん!何よ、その言い草は?ぐーは、きゅんが吠えるって言うから合わせたのに!」
と、きゅん君を責めると、
「僕は、吠えるとは一言も言ってないよ!仕事をするとは言ったけど。それを、ぐーが勝手に勘違いしたんじゃないか!」
「よく言うわね!全部ぐーのせいにして!ホントずるいわ、きゅんたら!ぐーと、きゅんは一枚肉でないといけないというのに!」
「何で、僕と、ぐーが一枚肉じゃないといけないんだよ!だいたい一枚肉ってどうゆう意味?」
どうやら、ぐーちゃんは、
一枚岩と言いたかったのですが、間違えて、
一枚肉と言ってしまったようです。
でも自分の間違えに気付いていない、ぐーちゃんは、
「きゅんは分からないの?ぐーたちは一円タクシーなのよ!」
今度は、一蓮托生と言いたかったみたいです。
「一円タクシー?何だ、それ!いくら何でも安すぎるよ!全く、ぐーは訳分からないなあ!」
「ぐーの話が分からない、きゅんはこうしてやる!」
説明に疲れた、ぐーちゃんはいよいよ、手ならぬ、
前足を出して、きゅん君を叩き、きゅん君も叩き返し、
その間もふたりはお互いの悪口を言い合い、
泥仕合の体を成してきて、
その様子をママの友達は面白がってビデオに撮り、
この家名物、きゅん君と、ぐーちゃんの、
恒例バトルが早速見れたと、
ご満悦な新しいお客さんでした。

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