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ふたりのドッグラン

本日、いぬうた市の、きゅん君と、ぐーちゃんは、
ママに車でドッグランに連れて来てもらいました。
それはよかったですね。
夏の暑い時分は走るどころではなかったですもんね。
「本当、そう」
とは、きゅん君、しみじみと言います。
「特にこの、いぬうた市のドッグランは木が1本しか生えてないから日陰が全然ないんだよね。だから真夏にここに来るのは無理」
その点、今日は曇ってますからね。
走るのにはちょうどいいのでは?
「本当、そうよー!」
とは、ぐーちゃん、嬉しそうに言います。
「ぐーはまだ暑くても走る気あるんだけど、きゅんが暑いと全然走らないからー!」
と、駐車場からちょっと歩いて、
いざドッグランに着きましたよ。
「うん。今日は暑くないから、ここのところ走ってなかった分、存分に走るよー!」
きゅん君、走る宣言をしたところで、ドッグランに入場です。
「あれ?誰もいないな。そうか。今日は平日だからね」
と、きゅん君の言う通り、場内には人もわんこも誰もいません。
これはおふたりの貸し切り状態ですけど、
ちょっと寂しいですね。
「ぐー、この方がいいわあ!だって他の方に気を使うことなく走れるし、お集中出来るからー!」
と、更に、ぐーちゃんのテンションが上がったようです。
「じゃあ、行くわよー!」
って、その上がった気分のままいきなり走り出した、ぐーちゃん、
きゅん君も、
「待てー!ぐー!」
とあとに続きました。
そうしてしばらく走り込んで、
「ぐー、ちょっとブレイクタイムにしよう」
と、ママから水をもらうふたり。
風がわずかにそよいで、
のんびりとした空気がふたりを包みます。
そんな雰囲気の中、きゅん君がポツリと言います。
「僕らしかいなくて、穏やかで、まるで家のようだな」
隣の、ぐーちゃんもそれに同意します。
「本当ね。ぐー、おウチの中にいるみたいな気がしてきちゃった」
すると、急に気が抜けたのか、「あーあ!」
と、ぐーちゃんアクビをひとつしました。
続いて隣の、きゅん君も、やはりアクビはうつるのか、
「あーあ!」
と、ぐーちゃんより大きいアクビをひとつ。
同時におふたりに眠気が襲います。
「僕、家だと思った途端眠くなっちゃったよ」
って、あら、きゅん君がまず、
地面に横たわってしまいましたら、
「ぐーも何だかお眠むだわあ」
と、ぐーちゃんもあとに続き、おふたり数秒後には、
すっかり夢の中に行ってしまったようで、
しかし、おふたり気付いてます?
空模様がだんだん怪しくなってきて、
ほら、ぽつぽつと雨が降ってきましたよ。
そこで雨に気付いた、ぐーちゃんが言いました。
「あら、おウチが雨漏りさんしてるわね」
いやいや、ぐーちゃん、ですからここは、
ぐーちゃんのおウチでなくて、野外のドッグランですよ。

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