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盆踊りのヤグラの話

今日も今日とて、いつものように、いぬうた市の、
きゅん君と、ぐーちゃんはママと、いつも通りの、
朝の散歩をしていたのですが、その途中、
これはいつもとちょっと違う風景を目撃した、
おふたりなのでありました。
「あら、アレは何かしら?」
それに最初に気付いたのは、ぐーちゃんでした。
「ホントだ。アレって何だろう?」
きゅん君も、初めて見るアレに、
首を傾げることしきりでしたが、
最初に正解を申し上げると、アレとは、
いぬうた駅前の空き地に組み立て中のヤグラでありまして、
それというのも、いぬうた市では、このたび、
久しぶりに盆踊り大会がこの夏、開かれることになりまして、
その会場のヤグラなのでありました。
きゅん君と、ぐーちゃんとしましては、
今まで、盆踊り大会を見たことも、
聞いたこともなかったので、
なのでヤグラを見たのも初めてで、だからヤグラの存在自体、
何をするものなのか?そもそもアレが何かのか、
皆目、見当もつかない、おふたりなのでありました。
なので、そこから、きゅん君、ぐーちゃんの、
推理合戦が始まります。
「アレは、いぬうた市が長年、ロケット発射に取り掛かっていて、いよいよ、それが実現するんじゃないかしら?」
ぐーちゃんがまずはそんな推理をすると、
きゅん君がそれに乗ります。
「なるほど。アレはロケットの発射台という訳だね。なかなかいい読みじゃないかな。ぐー」
あらららら。続くと思った推理合戦が意外にももう終わって、
どうやら、おふたりの間では、
アレはロケットの発射台ということに落ち着いたようです。
そして、まだ散歩の途中だったので、その後、
会うわんこ、会うわんこにソレを吹聴していくのでした。
「ねえ、ご存知?今、いぬうた駅前の広場に組み立てているアレ?アレって、ロケットの発射台らしいわよ」と。
そして、この話はあれよ、あれよ。と広まって、
きゅん君と、ぐーちゃんが散歩の終わりの頃には、
出会ったわんこに、逆に教えてもらったこととなりました。
「ねえ、知ってる?今度発射するロケットに、きゅんと、ぐーという犬が乗るらしいよ」
と、だいぶおヒレがついた状態で。
それを聞いた、きゅん君と、ぐーちゃん、
「えっ!マジ!僕と、ぐーがアレに乗って宇宙に行くの?」
「ええ!ぐー、ちょっと怖ーい!だって宇宙さんって真っ暗なんでしょう?でも、ぐー、ちょっと楽しみー!」
と、自分たちで振りまいたデマについた、おヒレに、
すっかり振り回されてしまった、おふたりなのでありました。

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