きゅん君とぐーちゃんとカラスとその友達
きゅん君とぐーちゃんとカラスとその友達
「今日の、ラッキーカラーさんはお赤なのよ」
いぬうた市の、ぐーちゃんは嬉しそうに、
隣で歩いている、きゅん君にそう言いました。
「ラッキーカラー?何だ、それ?」
対して、きゅん君はつまらなそうに聞き返します。
「さっきテレビさんで流れていたわ。だから、ぐー、今日はお赤なモノをいっぱい見ることにするー」
と、あんまり感心がない、きゅん君を横目に、
辺りをきょろきょろする、ぐーちゃんです。
今はママと散歩中で外にいるもので、
赤いモノはそこらじゅうにあると思ったのですが、
いざ探すと見当たりません。
「お赤ー!お赤なモノさん、どこにいらっしゃるのー!ほら、きゅんも一緒に探しなさいよー」
と、きゅん君にお願いしますが、
それを、きゅん君は無視します。
「ラッキーカラーって。自分の星座も知らないくせに。全く、ぐーったら」
と、内心で思いながら。
そんな、きゅん君の反応に、
ぐーちゃんは、ぐーちゃんで、
「本当、きゅんとは気が合わないわ。これだけ一緒に暮らしていても心が通じ合ったお友達にはなれないものなのね。あーあ、どこかに、ぐーの真のお友達さんはいらっしゃらないかしら?」
なんて思って思わず空を見上げます。
すると、電線に1羽カラスが止まっていて、
「あっ、カー!あっ、カー!」
と、ぐーちゃんに向かって鳴きました。
「そうそう!カラスさん、お赤なのよ!ぐーはお赤を探しているのー。あなたは、ぐーのこと分かってくれるのね。あなたこそ、ぐーの本当のお友達さんだわ!」
突如、理解者のように現れたカラスに、
友達認定する、ぐーちゃんです。
「いやいや、カラスはただいつもの鳴き方で鳴いただけだよ」
きゅん君はそう言いますが、ぐーちゃんは聞いていません。
「カラスさん、ぐーが探しているお赤のモノさんのところに連れてってくれるんだわ」
と、電線を離れて飛んで行くカラスを追いかけます。
リードでつながったママを引っ張って追いかけます。
きゅん君もママと別のリードでつながっているので、
当然引っ張られます。
しかし、ぐーちゃんは気にせず走って、
上空のカラスのあとを追いかけます。
「ぐーのお友達のカラスさーん!」
と、必死にカラスを追う、ぐーちゃんです。
やがてカラスは、いぬうた駅駅前に置かれている、
一体の銅像の上に着地しました。
いぬうた市の象徴的シンボルである、
ブロンズ色をした、わんこの銅像です。
「カラスさーん!ぐーのお赤を見つけてくれたあ?」
ぐーちゃんと、ぐーちゃんに引っ張られていたママと、
きゅん君も銅像に到着します。
そして、ぐーちゃん、その銅像を一べつすると、
「あなたはお赤では、ないわね。カラスさん、これはどうゆうこと?」
と、カラスに向かって言いますが、
しかし当のカラスは、ぐーちゃんのことは、
全く眼中にないようで、赤でもない銅像に、
やけにべったりしています。
そんな様子を見て、
突如、ムラムラて嫉妬心が湧き上がる、ぐーちゃんです。
「カラスさん!この銅像さんがあなたのお友達なの!ぐーこそがお友達ではなかったの?ぐーと銅像さんとどっちが大事!」
と、ぐーちゃんより高い位置にいる銅像と、
カラスに向かって吠えます。
「こらっ!銅像さん、お台なんかに乗ってないで、降りてらっしゃい!どっちがカラスさんのお友達か、決着をつけましょう!」
と、とうとうケンカを売りました。
「ほら、きゅんもボヤッとしてないで、一緒に吠えなさいよ!」
と、きゅん君も当然のように巻き込もうとして、
やっぱり、ぐーちゃんにとって、きゅん君は、
欠かせない存在なのですね。
そんな、きゅん君は、
「やれやれ、全く、ぐーには困ったもんだ」
と呆れ顔ですが。