
ちょうどいい盛り上がりの布団
「いぬうた山は大きいなあ。いぬうた山みたいになりたいなあ。お布団山は小さいけれど、
お布団山は、ぐーのお山ー!ぐーのお好みに高さを変えるー、ステキなステキな、ぐーのお山んー!」
以上は、いぬうた市の、ぐーちゃんの鼻歌でしたね。
ぐーちゃんはこんな歌をいつも歌いながら、
自宅の2階の寝室のベッドの上の掛け布団を、
寝やすい自分の好みの形に調整しているのです。
ぐーちゃんの好みはちょっと高い感じみたいですね。
ちょっと高く盛り上がった布団を、どすん!
と乗って、つぶして寝るのが好きなのです。
その好みの高さにするためには、鼻先を使って盛り上げます。
端から寄せ集め、山頂に当たる部分を、高く高くしようと、
必死で鼻先で布団をほじくるのです。
今日も、ぐーちゃんは好みの独自のお山を作るべく、
数分かけて作業を行います。
おっ、ぐーちゃん、作業をストップしましたね。
そして出来たお山をしばらく見つめます。
「うん。いいんじゃない。ぐー、ご会心のお山が出来たわー!このお山こそ、ぐーお好みの登りたいお山だわ!なので、このお山を、ぐー山と名付けましょうー!」
ぐーちゃん。だいぶお気に入りのお山が出来たようです。
「さあ、では、ぐー隊員、ぐー山にご登頂すると致しましょうー!」
しかし、そう言ってから、ぐーちゃん、ちょっと躊躇します。
そして、ちょっと何かを考え始めました。
「待てよ。ぐー隊員。もし、ぐー隊員がこの、ぐー山に登ったら、ぐー山はたちまちに潰れてしまうでしょう。そうしたらせっかく作ったこの美しい、ぐー山のお姿が一気に変わり果ててしまうでしょう。さて、ぐーは一体どうすればいいのかしら?果たして、ぐーは、ぐー山に登るべきか?はたまた登らざるべきか?」
と、ぐーちゃん、お山を前に考え込みます。
「ぐーが、ぐー隊員だったら、大好きなお山が、ぐー隊員が登ることによって、そのお山がダメになってしまうのは、とても悲しいこと。しかーし、こうゆう考え方もあーる。ぐーが、ぐー隊員でなく、怪獣さんだとしたら、お山を潰すことなんか、何も躊躇さんもないでしょう」
ぐーちゃん、二択の選択を迫られます」
「ぐーは、ぐー隊員か?怪獣さんか?一体どっちなの?」
ぐーちゃん、目をつぶり想像します。
自分が、登山隊員になってお山を登るのを断念する場面と、
怪獣になって、一気にお山を潰す場面を。
しかし、どっちもあり。のような気がして、
なかなか答えが出せません。
「うーむ、ぐー、どうしたらいいものか?ぐーにはどちらも選びきれないー。としたら、ここはもうひとつのお選択を考えるべきでは?」
ここで、ぐーちゃん、新たな道筋を思いつきました。
「そうだわ!このおベッドの上にはもうひとつお布団があったんだわ。飼い主のお布団があった。今、ぐー山を作ったのは、ママのお布団だったから、今度、飼い主のお布団で、新たなお山を作れば、ぐー山はキレイなまま保たれて、ぐーは新たなお山に登ればいい!」
ぐーちゃん、それはナイスアイデアではないですかね。
ぐーちゃんもそう思ったようで、早速、
飼い主の掛け布団を使って、新たなお山創造に挑みます。
先程とおんなじ方法で。
おっ、早くも出来ましたね。新しいお山が。
すると、またまた、ぐーちゃん、悩み始めます。
「これまた超美しいお山さんが出来てしまったわ!これまた超超美しいー!となると、このお山も潰すには惜しいし、さっき作った、ぐー山も同じだしー、かと言って、いまいち怪獣さんにはなりきれない、ぐー。ぐーは一体どうしたら」
と、ふたつ出来たお山の間で、ときおり見比べながら、
悩みは尽きない、ぐーちゃんなのでありました。