ホコリ多き犬
先日、いぬうた市のドッグランに行った時のことです。
その日のドッグランのグラウンドのコンディションは、
ここのところ雨が全く降らず、とても乾燥しているため、
地面の土は乾きに乾き、土ボコリが尋常でない程、
舞っているという、ママにとっては最悪の環境でした。
なぜなれば、こんな状態で走ったり、遊んだりしたら、
きゅん君も、ぐーちゃんも全身ホコリまみれに、
なること必至で、帰ったら、ふたりを洗うことが、
必然な状況に間違いなかったからです。
ため息をつくママをよそに、そんなことはお構いなしで、
後先考えない、きゅん君と、ぐーちゃんは、
ドッグラン内に入るやいなや、猛ダッシュを決めました。
途端に、舞う土ボコリ。
「やっほー!今日も僕が1番早いぞー!」
きゅん君の言葉通り、ちょっと、ぐーちゃん遅れをとって、
きゅん君をがんばって追いかけますが、
きゅん君が蹴って生じる土ボコリが、
後ろで走ってた、ぐーちゃんの目に入ってしまいました。
「ちょっと、きゅん!ぐーの目に何すんのよ!きゅんのせいで、ぐーのテンションダダ下がりー」
と、走るのを止めてしまった、ぐーちゃんです。
「ぐー、もう走らないのか?」
そう、きゅん君に聞かれても、
「もう、そんな気分じゃなーい。お天気さんも良すぎて暑いから、ぐーは木陰でゆっくりまったりするー」
と、ドッグランの端っこにある木の根元で、
座り込んでしまいました。
一方の、きゅん君は絶好調といったおもむきで、
散々、ひとりで走り倒して、
終いに、地面に背中をこすりつけたりして、
気がつけば、元来の黒いボディが、
まるで土と同化したような黄土色に変貌しています。
そんな、きゅん君を見た、ドッグランに来ている人たちが、
くすくす笑ったりして、中には写真を撮ってる人もいます。
どうやら注目を集めていると視線を感じた、
きゅん君は、調子に乗ってポーズを取ったりしました。
「きっと僕の走りを見て、僕に惚れ惚れしたんだな。無理もないか。僕の走り、僕から見ても、カッコよかったもんね」
と自画自賛が止まりません。
そこに、今まで木陰で休んでた、
ぐーちゃんがふらふらとやってきて、
「勘違いするんじゃないわよ。きゅん」
と、一言ズバリと決めました。
しかし、きゅん君には、ぐーちゃんの言った意味が、
全然分かりません。
「はあ?何、言ってんの?ぐー。勘違いって何さ。おや、もしかして僕のカッコよさに嫉妬してるんじゃない?いくら、ぐーがカッコよく走れなかったといえ、せめて、カッコいい僕と一緒に暮らしていることに誇りを感じるべきだね」
すると、ぐーちゃん、すっかり、きゅん君に呆れて、
「きゅんのホコリはずっと感じているわよ。ホコリしかないわよ。きゅんには」
と、たっぷりイヤミを込めて、きゅん君に、
そう言い返しますが、
「ぐーたら、イヤだなあ。僕が誇りだらけなんて」
と、ますますニヤついて、ぐーちゃんのイヤミに、
全く気付かない、きゅん君でありました。