眠そうなハリネズミ
急に音を立てて、いぬうた市に冬が近づきつつあります。
風はあっという間に、木枯らしまでとはいかなくても、
ひゅー!と冷たく吹き始めました。
そんなある日、きゅん君と、ぐーちゃんの家に、
風と共に、ある荷物が届いたのです。
ママが1階のダイニングルームのテーブルに、
どさっと置くと、別の部屋にいた、きゅん君と、
ぐーちゃん、ドタドタと駆け寄ります。
「おっ、荷物が来たようだね。僕の感だが、これは冬の訪れの何かではないだろうか」
そう言って、きゅん君の目が光りました。
「えっ、ぐーのおウチにもお冬が来たのねー。うわあ、何だろう?」
きゅん君の言葉に期待が高まる、ぐーちゃんです。
で、早速、荷物をママが開けると、それは、
わんずボックスからのグッズたちでした。
わんずボックスとは、ママが毎月ふたりのために、
わんこグッズがいっぱい入った、
宅配のボックスを注文しており、
その中に必ずその季節に沿ったぬいぐるみが、
入っているのです。
「わあ!わんずボックスじゃん!今回は何のぬいぐるみだろう!僕の予想通り、冬を思わせるぬいぐるみかなあ?」
どうでしょう?きゅん君の予想は当たりですかね?
と、ママが取り出したぬいぐるみは、
眠そうな目をしたハリネズミのぬいぐるみでしたー。
「はあ?何でハリネズミさん?」
ぐーちゃんは首を傾げます。
きゅん君は何か考えているようです。
「ハリネズミ?ハリネズミ?しかしただのハリネズミではない。眠そうな目をしたハリネズミだ。ここにヒントが隠されているハズ」
そう、ひとしきりぶつぶつ言って、
そして突如声を張り上げました。
「分かったー!ハリネズミが眠そうということはもうすぐ冬眠に入るんだ!僕の予想通り、まさしく冬の訪れを感じさせるモノだったー!」
と、見事予想的中に大はしゃぎする、きゅん君です。
しかし一方の、ぐーちゃん、隣で喜ぶ、
きゅん君を尻目に何となく、がっかりした様子です。
どうしたのですか?ぐーちゃん。
何か浮かない顔ではないですか?
もしかしてハリネズミがお好きではないのでしょうか?
「だって」
と、ぐーちゃんは言いました。
「ハリネズミさんておハリがあるじゃない。このぬいぐるみさんって、ぐーたちがカミカミして遊ぶオモチャさんなのに、おハリがあったら、ぐー、カミカミしたらイタイタになっちゃうわ」
「大丈夫だよ。これはぬいぐるみだから。ハリなんて出てないよ」
と、きゅん君が、言っても、
いつハリが出てくるか?と思ってビクビクして
遊べない。
怖くて噛めない、ぐーちゃんなのでありました。
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