抱っこされながらママを待つ
本日は、飼い主が休日のため、夕方、散歩がてらに、
いぬうた市のスーパーにショッピングにやって来ました、
きゅん君と、ぐーちゃんです。
とは、言っても、実際にショッピングをするのは、
ママひとりで、きゅん君と、ぐーちゃんは、
飼い主の持つリードにつながれたまま、
店先で、ママをジッと待つのでした。
ぐーちゃんはこの時間がどうにも退屈らしく、
しきりに、きゅん君に話かけては、
退屈を紛らわそうとするのでした。
「きゅん。ねえ、きゅんたら。お店の前に出ている野菜さんの中では何が好き?ぐーはね、えーと、えーと、トマトさんかな。何故かって、えっ、きゅん、知りたいの?じゃあ特別に教えてあげるわ。それは色が赤色さんで可愛いからよ。って、おい!きゅん!全然聞いていないでしょ?きゅんは退屈じゃないの?何、ボーっとしているのよ」
と、ぐーちゃんが、問いかけるも、きゅん君は上で、
微笑んだまま、ジーッと店の入り口を眺めています。
「何よ。きゅん。飼い主なんかに抱っこされちゃって」
ぐーちゃんが、上にいる、きゅん君を見上げて、
呆れたように言いました。
そうなんです。
きゅん君は飼い主に抱っこされながら、
ママを待っていたのです。
きゅん君はこうして、このような時間を、
飼い主に抱っこされながら待つのが好きなのでした。
そして、今までの、ぐーちゃんの話は上の空だった、
きゅん君、ひとりごとのように、つぶやきます。
「ああ、何て幸せなんだろうか。大好きママ、大好きな人をちょっと上から待つ、この時間といったら。ママは一体いつ戻って来るんだろうか?ママは一体どんな顔して戻って来るんだろうか?果たして笑ってるのか?それとももっと笑ってるのか?いずれにせよ、このロマンチックかつちょっとスリリングなこの時間が僕は大好きなのであった。ちょっと高みという眺めのいい、この極上の場所での至福の時」
と、ひたすら悦に浸る、きゅん君であります。
それを、地べたで聞いた、ぐーちゃんはますます呆れます。
「全く、きゅんって、お気楽な性格してるわね。だいたいママが笑って出て来るとしか、選択にないなんて、超ポジティブもいいところ。きっと、お店から出て来るなり、いい子で待ってたわね!ってママが言ってくれるって決めつけているんだわ。そんなに世の中そんなに甘くないわよ。もしかして、このお店の中で、店員さんに万引き犯さんと間違えられて、ぷりぷり怒って出て来る。とかそうゆうことだって、ない訳ではないじゃないの。それなのに。それなのに」
と、きゅん君の実に浮かれたお気楽な考え方に、
ムカついて、その反動でワザとひねくれた言葉を、
相変わらず全然聞いてない、きゅん君に向かって、
投げる、ぐーちゃんですが、その時ママが、
満面の笑みで、ふたりに微笑んで手を振って、
店から出て来たので、思わず、ぐーちゃんまでも、
ママー!と喜びの声をあげて、つられて、
きゅん君も、ママー!と負けずに叫んで、
結局、ママが大好きな事にかけては、
全くおふたり引けの取らない、きゅん君と、
ぐーちゃんなのでありました。
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