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長い長いトンネルの話

これはこの間、いぬうた市の、きゅん君と、
ぐーちゃんが車の遠出をした時のお話です。
いぬうた市を久しぶりに出て山の方に向かっていると、
トンネルの中に入りました。
すると、ぐーちゃんがいきなりビックリしたのです。
「あら?さっきまでお昼だと、ぐー思っていたけど、急に夜になったわ!知らない間に、ぐー寝てて、もう夜なのかしら?」
そんな風に思っている、ぐーちゃんに、
きゅん君が言います。
「ぐー、違うよ。ここはトンネルだよ。トンネルに入ったんだよ。だから暗くなったのさ」
「まあ、そうだったの!」
ぐーちゃんが思い出したようです。
「そういえばあったわね。トンネルさんって。最近、トンネルさんをくぐってなかったから、ぐー、忘れていたわ」
なんだ。ぐーちゃん、トンネルは知ってたのですね。
「それくらい知ってるわよ。ただ急に暗くなったから、ちょっとビックリしただけよ」
そうゆうことですか。それはよかったです。
「でも、でもさ」
ぐーちゃん、何だか心配そうです。
「それにしてもこのトンネルさん長すぎないかしら?そんなことってある?ほら、まだトンネルさんの中よ。これっていつになったら抜けるの?」
まあ、確かに長いですけどね。
そうゆうトンネルもあるのではないですか。
きゅん君もそう思ったようで、
「大丈夫だよ。ぐー。そのうち抜けるよ。全く、心配性だな。アッハッハ」
っと笑い飛ばすと、トンネルが、
きゅん君の言ったことを証明するように終わって、
パッと明るい太陽の下に出ました。
「ほら。抜けたろ。僕の言った通りだ」
何だか、勝ち誇ったような、きゅん君です。
そんな、きゅん君を見て、ぐーちゃん悔しそうですが、
その時、ふたりを乗せた車はまたトンネルに入りました。
「あっ!またトンネルさんだ!せっかく抜けたと、ぐー、思ったのにー」
ぐーちゃんに不安が再び訪れるのです。
「そんなことってある?」
きゅん君も内心、トンネルはあんまり好きでないようで、
「そうだな。でも仕方ないよ」
と、先程よりだいぶトーンが落ちました。
そしてしばらくふたり黙り込んで様子を見守ります。
しかしトンネルはまだまだ続いていて、
なかなか抜ける感じがありません。
「今度こそ、もう、ぐーたち、トンネルさんを抜けられないんじゃない。もしかしてお闇の世界に潜り込んでしまったんじゃない!」
っと、どんどん怖くなっていく、ぐーちゃんです。
その、ぐーちゃんの言葉に感化されたのか、
きゅん君も不安になってきました。
「ありえる。それはありえるかも。二度と抜けれないトンネルの話って、僕どっかで聞いたことあるよ」
そんな話、どこで聞いたのですかね。
こんなふたりですから、
長い長いトンネルをやっとこさで抜けた時、
「やったー!よかったー、バンザーイ!バンザーイ!」っと、
心から安堵しました。
しかしこの時、ふたりはまだ知りません。
再度長い長い長いトンネルに入ることを。

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