ツクツクボウシのマネをする
いつの間にか、セミの声が鳴り止むことのなくなった、
ここは、真夏の、いぬうた市です。
昼間は、ミンミンゼミのミーンミーンと鳴く声が、
夜間も、アブラゼミのジージーと鳴く声が、
ひっきりなしに聞こえている騒ぎです。
きゅん君と、ぐーちゃんの家の周辺も同様で、
セミはここぞとばかりに声をとどろかせ、
いつしか、慣れっこになっています。
そんな、セミの鳴き声といえば、
ミーンミーンかジージーしか知らない、ふたりですが、
この間、テレビでツクツクボウシの鳴き声が流れていて、
その独特の鳴き声に、大層びっくりした、ふたりです。
そのあとベランダに行って、もう一度、
他のセミの声を聞いて、
さっき聞いたツクツクボウシと比較してみました。
今は昼間なので、ほとんどミーンミーンという、
ミンミンゼミの鳴き声ばかりが聞こえました。
「やっぱりツクツクボウシさんとは全然違うわね。ミンミンゼミさんは、その名の通り
ミーンミーンしか言わないわ」
と、ぐーちゃんが言いました。
「でもツクツクボウシさんは何て鳴いているのかしら?」
きゅん君に、そう聞くと、
「ツクツクボーシ!ツクツクボーシ!とこれを何回か繰り返して、最後、ウイヨーウイヨーと言ってからジーで鳴き終わる感じだね」
きゅん君は、さっきテレビで観た、
ツクツクボウシの声をマネしてみました。
「ツクツクボーシ!ツクツクボーシ!ボーシツクツク!ボーシツクツク!」
ぐーちゃんも途中から鳴きマネに参加しました。
しかし、ぐーちゃんの鳴き声はちょっと違っていました。
「てるてるぼーず!てるてるぼーず!ぼーずーてるてる!ぼーずーてるてる!ユーノー!アイノー!ユーノー、アイノー!シー!」
と、ぐーちゃん独特の鳴きマネをすると、
きゅん君が大笑いして、
「ぐー!よりによって、てるてる坊主は今ないわー。このめちゃくちゃ暑くて雨が全然降ってないのに、ここで、てるてる坊主なんて、言ったら余計雨が降らなくなっちゃうよ」
そう、ぐーちゃんに言ったのです。
そう言われた、ぐーちゃんも、
あっ、そうか!てへぺろ。ってかわゆく、
首をかしげ、ウインクして、ベロを出すのでした。
すると、ぐーちゃんの出したベロに水滴が、
数滴、上から落ちてきたのです。
「あっ、雨じゃない?雨だわ!やったー!残念ながら、きゅんの予言は大外れね。もしかして途中から、ぼーずーてるてる!って逆さに言ったからじゃない!てるてる坊主さんを逆さに吊るすと雨降るって言うし」
と、ぐーちゃんは、大喜びです。
そして、きゅん君は更に大笑いです。
何故なら、その水滴の正体が雨ではなく、
セミのおしっこと知っていたのですから。