どーも。とペコリ
いぬうた市に本籍がある、きゅん君と、
ぐーちゃんの最近の流行りの遊びは、挨拶ごっこです。
それがどうゆう遊びかというと、人間の出会った時にする、
どーも。どーも。
というよくある挨拶をひたすら繰り返すというものですが。
あっ、ちょうど、1階のダイニングルームにいた、
きゅん君のところに、ぐーちゃんがやって来ましたので、
ちょっと様子を見てみましょう。
「おや、そこにいるのは、きゅんではありませんか。どーも。どーも。ペコリ。ペコリ」
まず、ぐーちゃんが口火を切りました。
すると、きゅん君も返します。
「いやはや、そうゆうあなたは、ぐーですね。こりゃ、どーも。どーも。どーも。ペコリ」
「あっ、はっは。そんな。そんな。どーもだなんて、そんな大層な。こちらこそ、どーも。どーもです。でもってペコリ」
「いやいや、めっそうもない。とんでもございませんことで、全く、どーも。マジどーも。マジペコリ」
と、こんな感じのことを、いつまでも繰り広げて、
それが、どうしようもなく、楽しい、ふたりなのです。
でも何で急にそんな遊びをしているのですか?
「何故って?それは飼い主のマネをしているのさ。人間はよく、どーもとか言って、ペコペコしてるけど、飼い主はそれが際立って、すごいんだよね。その様子が何だかおかしくってね」
きゅん君が質問に答えてくれました。
なるほど。そうゆうことだったんですね。
でも、飼い主って、普段からそんなに、
ペコペコしてるんですか?
ちょっと言い過ぎじゃないですかね。
「そんなことないわ。ぐーたち、実に上手に飼い主を模写してるわよ。疑うんだったら、飼い主と比べてみればいいんだわ。ほら、ウワサをすれば何とやら。で、飼い主やってきたから、よく見てみるといいわ」
ぐーちゃんの言ったように、飼い主が、
ふたりのいる部屋にやって来ましたね。
でも、さすがに、きゅん君と、ぐーちゃんには、
ペコペコしないと思うんですけど。
と、思ったら、あらあら、何てことでしょう。
ふたりを見るや否や、途端に、ペコペコと、
卑屈な態度を取り始めた、飼い主です。
これは一体何故なんでしょう?
「それはね。この間、ぐーと、きゅんが大事にしていたオモチャをうっかり間違えて、捨てちゃったのよ」
今度は、ぐーちゃんが答えてくれました。
「そうなんだよね。だからそれ以来、僕らに頭が上がらないんだよ」
きゅん君も半ば笑いながら、そう言うのでした。
その間も、飼い主は、ずっと、ふたりに薄笑いを浮かべながら、
やたらと、ペコペコしています。
きっと、このあとも、また、飼い主のマネをするのでしょうね。
きゅん君、ぐーちゃん。