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プレゼント何あげよう
いぬうた市は、きゅん君の誕生日が、
まもなくに迫って来ています。
ぐーちゃんは、きゅん君への誕生日プレゼントを、
何にしようか?と思案する毎日を送っているこの頃です。
「きゅんは何が欲しいのかしらねえ?まあ単純で食いしん坊だから、きっとオヤツとか何でしょうけど、ぐーにはオヤツはあげられないし、うーむ、いざ考えると難しいものね。でもまだ何日かあるから、ここは焦らずゆっくり考えましょう」
と、呑気に構えている、ぐーちゃんです。
しかし日はどんどん迫ってきます。
それでも、ぐーちゃんはまだ、
「きゅんには何がいいかしらねえ。単純だから思いつくのも簡単なはずよ。もしかしたら、ぐーの夢の中で、誰かが教えてくれるかもしれないし」
まだまだ余裕しゃくしゃくです。
それはまるで、夏休みの宿題を、
なかなか手をつけない子供みたいに、
何かと理由をつけて、先延ばしにする、ぐーちゃんです。
そして、いよいよ、きゅん君の誕生日は明日と、
なった前日、ぐーちゃんも、ちょっと焦りだしました。
「ぐーも全く何も具体的に考えなかった訳ではないわ。ハート形の石。とか、ぐーのお気に入りのオモチャ。とか、ぐーの首、10回噛んでいい券。とか、ぐーが遊んであげる券10枚つづり。とかね。でも何かイマイチなのよねえ。何かこうバシッとして、ガッとくる、凄いモノをあげたいじゃない。どうせなら」
先程からぶつぶつ言っている、ぐーちゃんですが、
「でも、まだ1日あるわ。1日あれば何でも出来るし、きっと神様から、いいアイデアが空から降りて来るわ!あっ、そうか!じゃあすぐに受け取れるように、お外で待っていないと!」
その日はその後、ずっと2階のベランダで、
空を見上げている、ぐーちゃんでした。
しかし案の定、神様からの連絡はなく、
夜になり、熟睡し、当日の朝をノーアイデアで迎えました。
さすがに焦った、ぐーちゃんは、
とりあえず適当にその辺のモノをプレゼントと言って、
誤魔化そうと、一瞬、頭によぎりましたが、
それだけはしたくなかった、ぐーちゃんは、
素直に、きゅん君に謝ることにしたのです。
「どうしたの?ぐー」
しかし、いざ、きゅん君を前にすると、
謝ろうとしても、なかなか言葉が出て来ません。
代わりに涙が出てきました。
その涙を見た、きゅん君は、瞬時に察知して、
優しく、ぐーちゃんに声をかけます。
「大丈夫だよ。その、ぐーの気持ちだけで充分さ」
その言葉を聞いた、ぐーちゃんは、
更に、わーんと泣きじゃくって、
「ぐー、一生懸命考えたんだよ。考えたんだけど」
それ以上は、言葉が詰まって、あとはただただ、
わーんと泣くだけの、ぐーちゃんでした。
飼い主も、ママも、ぐーちゃんのその様子を見て、
ぐーちゃんの気持ちが伝わって、ママが、
ぐーちゃんを抱っこして、優しく撫でてくれて、
きゅん君の誕生日は、
温かい雰囲気に包まれた朝から始まりました。