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空き地売ります

最近、きゅん君と、ぐーちゃんが、いぬうた市内のあちこちを散歩していると、
空き地を多く見かけます。
あっ、そう言っているそばから、
今日もまた新しく空き地になった場所を発見しました。
「なかなかいい土地だわね。日当たりもどうやら良さそうだし、ここからなら、いぬうた駅や、いぬうた公園も徒歩5分以内ね」
ぐーちゃんは早速、土地の査定をしました。
「ぐーは今度住むんだったら、どんな家がいい?僕は今よりベランダが大きい家かなあ」
「だったらいっそ屋上がある家がいいんじゃない。ぐー、そんな家がいいなあ」
と、ふたりの夢は広がります。
そこに、1匹のカマキリが、ふたりの前に現れました。
「あら、カマキリさん、ここの下見にいらっしゃったの?もしかしてお引越しをお考え?でしたら、ここはおすすめよ。約30坪はあるから、家が建っても、あなたが充分快適に暮らせるスペースはあるはずだわ。ぐーが保証します」
ぐーちゃんは、早速、カマキリに引っ越しを勧めます。
「是非にご検討を。今なら、ぐーとジャンケンをして勝ったら全額無料キャンペーンを実施中です。ご参加しますか?」
どんどん勝手に事を進めていく、ぐーちゃんと、
その有り様をぼんやり見ている、きゅん君です。
何となく、カマキリとコミュニケーションをとり、
結果、どうやら、ぐーちゃんは、カマキリと、
ジャンケンをすることになったようです。
「では、いきますわよー!それっ、ジャンケン、ポンッ!」
ぐーちゃんは、パーを出しました。
普段、ぐーちゃんは、名前の、ぐーと同じ、
グーを出して、いつも負けているので、
今日は裏をかいて、パーを出しました。
一方、カマキリは何を出したか?というと、
「カマキリさん、カマは刃物だから、それはハサミのチョキと一緒ということかしら。でしたら、ぐーの負けだわ」
と、手というか、前足がカマになっている、
カマキリのチョキが勝ちました。
「では約束通り無料で、この土地をお譲りしましょう。あとで、この秘書の、きゅんが書類をお持ちしています」
きゅん君が、「誰が秘書じゃ」とこぼすのも、
お構いなしに、ぐーちゃんが、
更に手続きを勝手に進めました。
そして、
「受け取ったら書類にサインをお願いします。間違って、そのカマで切ってはいけませんよ」
などの、冗談を最後に、きゅん君と、ぐーは、
飼い主と散歩に戻りました。
こうやって、たまに空き地を見つけると、
ぐーちゃんは勝手に土地を譲渡しているのです。
ですから、この件は是非内密にお願い致します。

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