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帰りはちょっとセンチメンタル
今日は、いぬうた市を少々離れ、
自然に溢れ、水郷のある公園に行って来ました。
ドッグランで走ったり、水辺を歩いたりして、
なかなか楽しいひとときを過ごして、
今はその帰りの車の中の、
きゅん君と、ぐーちゃんです。
楽しかった分、疲れも手伝って、
まったりモードが、車内には漂っていて、
助手席にいる、きゅん君は、
ぼんやりと窓の外の風景をただ見ています。
近所とは何だか違う、普段見慣れていない街並みに、
きゅん君はちょっと、
センチメンタルな気分になってしまいました。
次はいつ見れるか分からない風景が、
一瞬のうちに走る車に置いていかれて、
次々と消えていきます。
家やビルたちがすぐに、
きゅん君の視界からいなくなります。
もしかしたら、この風景を見るのは、
これで最後かもしれません。
あの家や、あのビルの中にも、人々やわんこがいて、
この瞬間も生活を育んでいるのに、
自分は全くそれを知らないまま、
二度と見ることはないんだな。と思うと、
何だか悲しい気分になるのでした。
そんな、きゅん君の心情がどうやら、
口からこぼれていたようで、
知らず、きゅん君は、見たもの見たものを、
言葉にしていました。
「さよなら、赤い家。駅前のアパート。時計塔。ウサギがキャラクターの店。清掃会社。薬局。車がいっぱいのショップ。プールのあるスポーツジム」
その、きゅん君のつぶやきに気付いた、ぐーちゃんが、
「あれっ、きゅん、もしかして、ひとりでしりとりしているの?だったら、ぐーも入れてよー。次はム、ね。えーと、あっ、ぐー、思いついたわ。ムと言えば、ムカデ!」
「電車」
「や、ね。や、は、えーと、ヤギ」
「銀行」
「早いわね。きゅん、でも、ぐー、負けないから。えーと、う、は、えーとー」
と、きゅん君のセンチメンタルな、
見たもの見たものに、さよならするつぶやきは、
奇しくも、しりとりになっていて、
ぐーちゃんは、そんな、きゅん君のさよならしりとりに、
自然と加わって、結果、
ただのしりとり合戦となってしまいました。
そうして、センチメンタルな、きゅん君と、
センチメンタルじゃない、ぐーちゃんを乗せた車は、
知らない街をあとにします。