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きゅんが歩けばぐーに当たる

「もう!本当、ふざけんじゃないよ!犬をバカにするのもいい加減にしろって言うんだ!」
と、冒頭から、いぬうた市の、
きゅん君がずいぶんおかんむりのようですね。
一体何かありましたか?きゅん君。
そんなに怒ったりして。
「何かあったなんてもんじゃないよ!ことわざだよ!ことわざ!犬がついたことわざだよ!本当、ロクなことわざがないんだよ、犬がつくことわざは。僕たち犬をめっちゃナメてるんだよ!」
なるほど。ことわざですか。
犬がついたことわざね。
あー、アレですね。アレ。
犬も歩けば棒に当たる。とか。
「ソレだよ!ソレ!何だよ。犬が歩けば棒に当たる。って!笑わせるんじゃないよ。全く。僕は今までに歩いて棒に当たったことなんてないし、棒に当たっている犬も見たことないよ。それを適当なこと言いやがって!」
と、どんどん怒りがエスカレートする、きゅん君ですね。
だいたい棒って何の棒なんですかね?
外にある棒と言えば電信柱とかなんでしょうか?
確かに見たことないですね。
それをあたかもわんこが歩いたら、
必ず棒に当たるような断言をしてますから、
確かにこのことわざはわんこに失礼極まりないです。
きゅん君が怒るのも無理ないですね。
「そうでしょ!他にも失礼なのがゴロゴロあるんだよ!そう、例えば、犬猿の仲。ね。これも何だよ!勝手に仲悪いって決めつけんなよ!誰か見たことあるのかよ!犬と猿がケンカしているところを!そもそも僕は猿なんかに会ったこともないのに、最初っから仲悪いだなんて決めてんじゃないよ!」
と、今度は、犬猿の仲ですか。きゅん君。
これも確かに、きゅん君の言う通りかもしれませんね。
あとはまだありますか?
そんな偏見のことわざが?
「あるよ!それがまだあるんだよ!本当、イヤになっちゃうよ!それは、犬が西向きゃ尾は東。だよ!何だよ!これ、当たり前過ぎるじゃん。まあ、当たり前っていう意味なんだろうけど、わざわざ犬を例えに使うんじゃないよ!そこに日頃から犬をバカにしている人間の気持ちが透けて見えるんだよ!もう本当、頭にくるよ!ナメやがって!」
と、きゅん君の怒りは全く収まりませんね。
これはどうしたらいいんでしょうか?
と、ちょうどよかった。
どうやら散歩の時間がきたようです。
ここは外で頭を冷やすのが1番なのではないでしょうか。
「そうだね。そうさせてもらうよ」
って、ぐーちゃんを隣にママと散歩に出た、
きゅん君です。
しかし、怒りがまだ収まらない、きゅん君、
ぶつぶつ言いながら、ふらふら歩いていると、
隣の、ぐーちゃんにドカン!とぶつかりました。
おっと、これでは、犬が歩けば棒に当たる。
ではなくて、きゅんが歩けばぐーに当たる。
ではないですか。ゲラゲラゲラー!
「ふざけんじゃないわよ!きゅん!ちゃんと前向いて歩きなさいよ!本当!きゅんなんて大嫌いだわ!」
「何だよ!ぐー!ちょっと当たっただけじゃないか!それをそんなに怒ることないだろ!全く!僕だって、ぐーなんて大嫌いだよ!」
と、ここで、きゅん君にぶつかられた、ぐーちゃんが怒って、
そして、きゅん君も怒り返して、仲が一気に悪くなって、
おや、これはもしや、犬猿の仲。
ならぬ、きゅんぐーの仲ではないですか。
ゲラゲラゲラー!
「何よ!」「何だと!」「もう、きゅんなんて知らない!」「僕もだ!」
と、お次はお互いソッポ向いてしまって、
あっ!これは、これは、犬が西向きゃ尾は東。
というか、まさしく、
きゅんが西向きゃ、ぐー東。
そのものだあ!ゲラゲラゲラー!
どうでしょう。いぬうた市のわんこのみなさん。
今度から、こちらを犬のことわざの代わりに、
採用して頂くというのは。
だって、こちらのきゅんぐーことわざのほうが、
信ぴょう性高いと思われますから。


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