メリーゴーラウンドのある店
先日、いぬうた市を離れ、
ちょっと数百キロ北の町に行った時、
きゅん君と、ぐーちゃんにとっては、飼い主に、
付き合わさせた感の大きいドライブでしたが、
ひとつだけ楽しかったことがありました。
飼い主とママがお昼を食べたお店に、
メリーゴーラウンドがあったのです。
きゅん君と、ぐーちゃんにとっては、
それは初めて見るものでした。
家に帰って、そのメリーゴーラウンドの、
印象や感想を、ふたり言い合って、
ぐーちゃんは、
「夜になるとイルミネーションが暗闇に映えて、さぞかしキレイでしょうね。夜にまた見てみたいものだわ」
と、言ったら、その夜、ぐーちゃんは夢で、
そのメリーゴーラウンドに行けたのです。
ぐーちゃんが思った通り、
夜のメリーゴーラウンドは、実にキレイで、
そのメリーゴーラウンドは、
木々に囲まれた高台にあるので、
森の中で発光しているように見えて、
とても幻想的な雰囲気を醸し出しているのです。
そんな光景に、ぐーちゃんが思わず見惚れていると、
その中の木馬のひとりが、
ぐーちゃんに話かけてきました。
「まあ、今晩は可愛い仔犬さんがお客様ね。どう、私に乗ってみる?」
すると、ぐーちゃんは、
「それよりも、ぐーはそのあなたの優雅な走り方を是非教えて欲しいわ」
と、言って、
「お安い御用よ。じゃあ、まずはね」
と、ぐーちゃんに、走り方を教えたのです。
ぐーちゃんの上達は早く、最後には競争とかもして、
それは、ぐーちゃんにとって素晴らしい夜でした。
朝起きて、早速、きゅん君にその夢のことを報告しました。
そして木馬に教えてもらった優雅な走り方を、
再現して、きゅん君に見せる、ぐーちゃんなのでした。
アップダウンを繰り返しながら廻る、その姿は、
とても楽しそうで、きゅん君もいつしか、
一緒に廻っていました。
「今晩は僕の夢に出て来てくれないかなあ」
きゅん君がふとそう言うと、
「だったらいっそ木馬さんが、ぐーのおうちに来てくれればいいのよね。あの方たちだったら、高速道路を使えば結構早く来れるんじゃないかしら?そしたら、ぐーも、きゅんも、一緒に走って廻って遊べるわ」
ぐーちゃんが、そんなアイデアを思いついたので、
その晩は、2階のベランダの窓は、
開けておくことにしたのです。
わくわくしながら、眠りにつく、ぐーちゃんと、
高速道路を走って、こちらに来る姿を想像しながら、
横になる、きゅん君です。
「ここにあの木馬たち来るということは、あのメリーゴーラウンドには誰もいなくなるということかな?」
そして、この光景もちょっと思ってみました。
暗闇の中、木馬たちが全くいない中、煌々と光り続ける、
メリーゴーラウンドの、そのイルミネーションを。
フクロウとかが鳴いていて、それでも不気味に光る、
メリーゴーラウンドは、ホラー映画の舞台のようで、
それはとっても怖いなあ。
と、身震いする、きゅん君でした。
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