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我が家の運動会

いぬうた市もいよいよスポーツの秋を迎え、
ここ、きゅん君と、ぐーちゃん宅でも、
運動会が始まろうとしています。
まずは、きゅん君と、ぐーちゃんが、
選手宣誓を行います。
ふたり、右前足を挙げて、声を合わせての宣誓です。
「我々はスポーツマンシップにのっとり、正々堂々と最後まで戦うことを誓います!」
きゅん君は間違えることなく実に立派な宣誓でした。
一方、ぐーちゃんは、だいぶ間違えたようで、
「我、ぐーは小坊主きゅんしっぽをひっぱり、平々凡々サイコパスと叩き合いすることを誓いまっす!」
ですって。
このひどい、ぐーちゃんの宣誓に、
「誰が、小坊主で平々凡々サイコパスじゃ!やんのか、こらっ!」
と、早くも、きゅん君に怒りの炎が点火して、
ふたりの運動会はバチバチの様相を呈してきました。
「日頃の恨みつらみ、今日こそ晴らすわよ。きゅん」
「それはこっちのセリフ。あとで吠え面かくなよ。ぐー」
と、お互い一歩も引かず睨み合う、ふたりの、
波乱の幕開けとなった最初の種目は、綱引きです。
きゅん君と、ぐーちゃん、互いに口に咥えた、
ロープを引っ張り合って、自身の背中方向の壁まで、
手繰り寄せたほうが勝ちとなります。
ふたり共、気合い充分で早速始まりました。
さあ、この対戦、どちらが勝利するでしゅうか?
「オーエス!!」
と、大きく叫ぶやいなや、ぐいっと、
思い切りロープを引っ張った、きゅん君です。
その勢いに、ぐーちゃんは、よろけてしまい、
前に引きずられ、つまずいた拍子に、つんのめって、
そのまま、きゅん君に向かって、飛んで行きました。
それはまるで、弾丸のようで、一直線に、
きゅん君をめがけます。
「喰らえ!きゅん!」
ぐーちゃんは雄叫びと共に、
きゅん君に体当たりしました。
この攻撃に、たまらず、
きゅん君は後ろの壁に激突してしまい、
しかし、負けていない、きゅん君は、
その勢いを利用して、体当たりした、ぐーちゃんを、
前足で、うっちゃって、ぐーちゃんも壁に激突し、
運動会はよもや、総合格闘技に姿を変え、
「もっとかかって来いやー!ぐー!」
「きゅんこそ、覚悟しいやー!」
と、外は爽やかな秋空の下、怒号や悲鳴が飛び交う、
きゅん君と、ぐーちゃんの家でありました。

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