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夜は友達

「何か最近あなたと会う時間が長くなったわよね」
今日も夜になった、いぬうた市の、きゅん君と、
ぐーちゃんの家の2階のベランダで、
ぐーちゃんがまったり空を見上げて何やら、
誰かと話をしてます。
日中はまだ夏が全然居座っていて、
まだまだ暑い毎日ですが、こと夜になると、
そよそよと風が吹いたりして、
多少は涼しかったりします。
そして、ぐーちゃんの言う通り、いつの間にか、
夕方、日が暮れるのも早くなり、
朝も明けるのが、だいぶ遅くなりました。
ぐーちゃんの言うところの、あなたという夜は、
日に日に長くなっていきました。
「ぐーはあなたのことが大好きよ。だって、ぐーと同じ黒色ですもんね。だから黒同士、仲良くしましょうね。あなたといると何だか落ち着くのよ。もしかしたら、ぐーはあなたの一部なのかもしれないわ」
ぐーちゃんは、夜と話をしてたのですね。
ぐーちゃんは、黒色のわんこなので、
夜にシンパシーを感じているようです。
「でも、ちょっと暗過ぎる時もあるから、そこは気をつけたほうがいいと思うわ。そうだ!ぐーがいいこと教えてあげる。ぐーが辺りが暗い時の散歩で着けるチカチカをあなたも着けるのをお勧めするわね」
ぐーちゃんが、そう言うと、
ちょっと、かげっていた夜空から、雲がさーっと引いて、
月や星が姿を表しました。
「あら、早速、チカチカを着けてくれたのね。ありがとう。ぐーが思った通り、とてもキレイよ」
ぐーちゃんは雲が消えて、
キラキラと輝く夜空を見て満足そうです。
「キレイと言えば、この間会った知り合いの方が、7色にピカっと光るチカチカを着けていたのよ!それがとてもキレイだったの。ぐーも欲しいなあ。飼い主の頭の中もあれくらいピカッと閃いて、ぐーがアレが欲しいと思っていることに感づいてくれないかしら」
それからしばらくは、飼い主のことをあれやこれや、
グチる、ぐーちゃんです。
「あら、ぐーったら、ついつい、いろんなことを喋ってしまったわ。ごめんなさいね。あなたとは友達だから、ぐーはふと心を許しちゃうのよ。でも親しき仲にも礼儀ありよね。もっと楽しいことをしましょうよ。何がいいかしら?そうだ!仲良しは歌を一緒に歌うものだわ」
ぐーちゃんが、そう言うと、いつしか鈴虫が、
るるるるる、と鳴き始めて、
「あっ、アカペラね。とてもお上手ね。じゃあ、ぐーも歌うわ」
と、ぐーちゃんも、るるるるる、と歌い始めて、
楽しい楽しい秋の夜長です。

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