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三角公園の謎
きゅん君と、ぐーちゃんが住む、いぬうた市には、
いぬうた公園という大変大きな公園がありますが、
その他にも、公園はいっぱいあります。
そんな数ある公園の中で、きゅん君と、
ぐーちゃんの推し公園はどこか?というと、
たぶん、ふたりは揃って、三角公園と答えるでしょう。
「そうだよ。よく分かったね。その通りさ。僕、三角公園が大好きなんだよね。場所も、いぬうた公園の手前にあって、よく通りがかりに寄ったりするし、なんなら、今日はもう、いぬうた公園行かずに、この三角公園で充分満足したから、これで散歩終わりにして引き返してもいいかあ。って気分になるもんね」
と、三角公園への熱い気持ちを、
語ってくれた、きゅん君です。
ぐーちゃんも続いて補足します。
「大まかには、きゅんの言った通りなんですけど、これを言い忘れているわよ。きゅん。大事な事よ。何故、ぐーたちが三角公園で満足できるかというと、ママがよく三角公園で、ぐーたちのリードさんをロングリードさんに付け替えて遊ばせてくれるのよ。だから、ぐーたちは、ドッグランさながらに走ったり、わんプロできたりするんです。こんなことは、いぬうた公園ではなかなか出来ないわ。という訳で、ぐーたちは三角公園がお気に入りなの」
分かりました。なるほどです。
ぐーちゃんの説明大変分かりやすかったですね。
「そうでしょ。きゅんはいつも肝心なこと言い忘れるのよね」
と、ぐーちゃんから手厳しい一言が追加され、
それを言われて、きゅん君は、
「そうだった」
と、ペロリ舌を出して、おどけるのでした。
それにしても、何で三角公園って言うんですか?
その公園の形は三角形なんですか?
と、ふたりに質問すると、お互い顔を見合わせて、
「さあ、何で、でしょう?」
と、首をかしげてしまう、ふたりなのでした。
「そう言えば、何で三角公園って呼ばれているか?知らなかったね」
きゅん君が、そう告白します。
「特に、三角公園て書いてある看板さんがある訳じゃないわよね。書いてあっても、ぐー読めないけど、公園という割に、何も表記のない、ただの広場よね」
ぐーちゃんも思い出したように言いました。
「特に公園の形が三角でもないし。これは是非調べてみたいとね。今度行った時に、そこにいる犬仲間に聞いてみよう」
「そうしよう」
と、ふたり話がまとまって、早速その機会がきました。
その日の夕方、ママが散歩で、
三角公園に連れて来てくれたのです。
ちょうど夕方の散歩タイムのようで、
まるで集会所のように、沢山のわんこが集まっていたのです。
「おっ、長老もいるよ。長老に聞けば、きっと知ってるさ」
きゅん君の言う通り、この辺では1番の古株の、
三角公園の主と言われる程、この公園に詳しい、
長老と言われるわんこもいました。
「でもあの方、怒りんぼさんなのよねえ。短気ですぐに怒るから大丈夫かしら?」
ぐーちゃんの言う通りなんですよね。
大丈夫でしょうか?
でも、きゅん君たら、「大丈夫でっしょ」
と軽口をたたいて、
「ねえ、ねえ、長老!」
長老に実に気楽に声をかけたのです。
「何で、ここ、三角公園って言うの?教えて下さいよお」
それも実に横柄に。
なので、長老早くもムッとして、
「それは知らない!」
と、断ち切るように、きゅん君に言いました。
しかし、しつこく、きゅん君が、
「ねー、ねー、長老さんたらあ。長老さんが知らない訳ないじゃないですか?勿体ぶらないで教えて下さいよお」
と、更に、何とも、いやらしい言い方で、なんべんも聞いて、
案の定、長老の怒りは爆発して、とても怖い顔になりました。
特に凄いのは目尻がめちゃくちゃ吊り上がって、
目が三角になったのです。
それを見た、ふたりお互いの顔を見合わせて、
「この目が由来かな?」と、同時に言って、怒る長老の顔を、
まじまじと見続ける、きゅん君と、ぐーちゃんでありました。