巳年だあ

新年も1週間ほどが過ぎました、ここ、いぬうた市ですが、
あら、ぐーちゃん、何か元気がないのでは？
めでたいお正月も終わって寂しくなってしまったとかですか？
「違うわよ。お正月さんにはまた来年会えるから全然そんなことないけど、ただ、ぐーまだ見てないのよ」
見てないとは？ぐーちゃん、何を見ていないのですか？
「白ヘビさんよ。白ヘビさん、白ヘビさん見ないと、ぐーのお縁起良くないじゃない。だから白ヘビさん、何とかして見たかったのにー。がんばってお散歩の時探したのにー」
と、うつむくばかりの、ぐーちゃんです。
なるほど。そうゆう訳ですか。
今年の干支は巳ですからね。
確かに白ヘビは縁起が良いとされていますが、
でも白ヘビなんて、そうそういるものではないですよ。
だから見れなくてもそれは仕方ないのでは。
「それでも、ぐー、白ヘビさん見たいのよ。もうすぐまたお散歩だから、今度こそ白ヘビさん見てやるー！」
と、今まで元気のなかった、ぐーちゃんですが、
心機一転、気合いを入れ直したようです。
そこまでして白ヘビが見たいのですね。
何とか見れるといいのですが。
っと、その散歩の時間がやって来ました。
今日の散歩のパートナーのママと、きゅん君を従えて、
意気揚々と町を歩きます。
その間も常にきょろきょろして白ヘビを探します。
「あっ！あれ！あの方、もしかして白ヘビさんじゃない！」
ぐーちゃん！見つけましたか！とうとう。
「ぐー、何を言ってるんだよ。あれはホースじゃないか」
ぐーちゃんとは正反対の冷めた、きゅん君の言う通り、
あれはどなたかのお宅の庭に置かれた水撒きホースですね。
「あっ！じゃあ、あの方は？あの方こそ間違いなく白ヘビさんよ！」
「ぐー、よく見ろよ。あれはエアコンの室外機の管だ」
と、ぐーちゃんの発見をことごとく否定する、
きゅん君です。
でもまあ、この場合は、きゅん君が正しいのですからしょうがないのですが。
「あっ！今度こそ、あれは白ヘビさんよ！それもあんなにいっぱいいらっしゃるー！ぐーの縁起もこれでいっぱいだわあ！」
と、またもや見つけたようですが、
さすがに、きゅん君もあきれて何も言えないようです。
では、代わりに言いますが、
あれは白いラブラドールの大群のシッポですよ。
ぐーちゃんのお仲間たちではないですか。
「あっ！本当だ！何だ、ぐー、ガッカリ。やっぱり、ぐーは白ヘビさんを見れないのね。なので、ぐーのお縁起もいらっしゃらないんだわ」
と、ぐーちゃん、一気に落ち込んで、
もはや探す気力が失せてしまったようです。
あらまあ、ぐーちゃん、かわいそうに。
ここは何とかしてあげたいところですが、
こればっかりはどうしようもないですね。
しかしです！しかし、
このあと、何と、ぐーちゃんは白ヘビを見ることが出来たのです。
散歩が終わって家に帰ると、ママが絵に描いてくれたからです。
「わーい！ぐー、白ヘビさんに会えたー！これでお縁起も来てくださるわあ！ママー！ありがとうー！」
と、大喜びで笑顔が弾ける、ぐーちゃんです。
よかったですね。
これで今年は縁起がとても良さそうな、
きゅん君と、ぐーちゃんなのでした。