『岩崎弥太郎と三菱四代』(著:河合敦)〜大河ドラマ的に三菱創業一族を眺める
【内容】
三菱財閥創業者の岩崎弥太郎と、その後の後継者についてのノンフィクション。
【感想】
先日訪れた清澄庭園でポランティアガイドの人が、六義園や清澄庭園などの都内の4つ庭園が、岩崎家からの寄贈されたものなのだそうです。
六義園も清澄庭園も、とても良い庭園で度々訪れているのですが、そういえば三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎については殆ど知らないことに気付き読んでみることにしました。
岩崎弥太郎というと大河ドラマ『龍馬伝』で、欲深くて自己中な人物として香川照之が演じていて、その印象が強烈にあったのですが…
実際にの本人もそれなりに我の強い人間だったようです。
例えば…
政府の塀に落書きを2回もして、幽閉されたり…
遊侠のために藩の金を使い込んだり…
外国人を接待漬けにして、仕事を取ってきたり…
この本の著者が、岩崎弥太郎贔屓な人なので、岩崎弥太郎は偉いが今時の日本人はなっていない的な説教モードの話が挟み込まれているのが、どうなのかなあと思ったりもしつつ…
出来れば、こうした本ではそうした主観的な感想は入れずに、客観的な視点から書いて欲しいなあと思ったりしました。
岩崎弥太郎がやったマイナス面は、あの時代ではしょうがない的な話の持っていき方していますが…
普通に、遊ぶ金欲しさに多額の政府の金を使い込むとか、裁判所の壁に落書きするとか…
大事を成す男子の欲望や生命力は大きいので、それは彼の人間性の大きさを表すものでもあるのだった…的な話し方するのは、どういうことなのだろうとは思いました。
とはいえ、岩崎弥太郎だけではなく後継者たちによって、三菱が今の巨大企業グループになっている流れをざっくりと掴むことが出来ました。
新興の企業として巨大に発程していく過程で、日本的な潰し合い巻き込まれて、岩崎弥太郎が成功させた海運業については、合併の形で手放すことになるとか…今の勢いのある新興企業に対して行われるパターンと全く同じことをこの頃からやっていたんだなあと思いました。
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