本当にあったスピ会社の怖い話
こんにちは!
転職したらスピ会社だった、てんすぴです。
今日は夏なのでみなさんに怖い話をしたいと思います…。
ある日のこと。
てんすぴがいつものように笑いを堪えながら電話対応をしていると、部長から一通のメールが。
「てんすぴさん、明日朝10時に、〇〇会社(取引先)の〇〇事務所に研修に行ってきてください!」
えっ?!研修?!なになに?!
めちゃくちゃ急だけど上司の言うことは絶対なので、仕方がなくその事務所へ行くことに。
そしてメールしてきた2分後に部長がトイレから出てきたので、こいつ、トイレからてんすぴ様にメール送り付けてきやがって添付ファイルとかつけてねーだろーな?!とダブルチェックしたのですが、そこは大丈夫でした。
恍惚顔の部長に
なんの研修ですか?と聞いたら、映像編集の研修とのこと。
え、てんすぴその手の大学出てるよ?必要?
って思ったけど、人間奢り昂ってはならない。
そんなの大昔の話だし、いまはいろんな技術が発達しているはずだからこれを機に吸収しよう。
私の向上心はそこらへんのティーンエイジャーに負けてないからね。めざせ甲子園。
次の日…。
朝10時、私はアパートの「201号室」の前で佇んでいる。
〇〇事務所と渡された住所は、確かにここを指しているのだ。
ちなみにドアの前にはめちゃくちゃダンボールが積まれている。
私がこのアパートの住民だったら、絶対大家さんにクレーム入れてるわ。
と、とりあえず、インターホン、押そ。
ピンポーン
女の声「はーい」
てんすぴ「研修で来た〇〇会社の者ですー」
女「お入りくださーい」
ガチャ
大量の靴・洗い物・畳まれずに放置されている洗濯物・ゴキジェット・スーパーの買い物袋・Amazonのダンボール…
普通の、いや、ちょっと汚いワンルームやん。
生活、してるやんけ、ここで。
ヤマザキ春のパン祭りのシール、冷蔵庫に貼って貯めんなや。いざ応募する時取れなくなるだろ。
てんすぴは今すぐ逃げ出したかった。
でも、でも…。
逃げ場は、ない。
てんすぴ「失礼します…」
洗濯物のトンネルをくぐり抜けると、そこはーーー
もっと恐ろしい光景がひろがっていた。
半裸の男が、寝ている。
ソファーの上に、半裸の男が、寝ている!!!!!
女「今日はお願いしますねー。あ、あいつは気にしないでくださいw」
てんすぴ、硬直。
え、なにこれ。企画物?!
これから一体何が始まるんです?
狭いワンルームの中に、
大きな半裸男付きソファー、PC4台、椅子が2つ…。
かくして映像編集研修が始まった。
半裸男はいびきをかきはじめた。
講師は私より20歳くらい上の、安い香水の香りがする女。
胸元には食べこぼしの染みがある。
ヨーグルト、食べたのかな。元ヨーグルトだといいな。
女「いい?映像作品っていうのは〜、女の人と一緒で綺麗じゃないといけないの。美しくないと人には見て貰えません!」
先生、私、貴方の胸元から目が離せません。
作業を進めるうちに、私も講師も気がついてしまったことがある。
てんすぴのほうが、動画ソフトの技術に長けていた。
講師はそれがわかると、突然研修を放棄してYouTubeでクリーデンスクリアウォーターリバイバルの動画を見だす始末。
そして、やたら電話が鳴り響いていた。
女「もしもし…はい、そうです。本人です。すみません、今日中に支払います」
女「はいもしもし……はい、はい、今日必ず銀行に行きます」
鳴り止まない電話、いびき、クリーデンスクリアウォーターリバイバル…。
時計を見たらまだAM11時。
女「すみません、私ちょっと銀行に行かないといけないので」
うん、知ってる。滞納すんな。
女「このまま作業続けててください!w昼過ぎには帰りますんでw」
いやいやいやいや。
やめて???2人にしないで??????
講師は行ってしまった。あっさりと。
物音を立てたら半裸男が起きてしまうかもしれない。
こわい。
振り返るのも、こわい。
しばらく硬直していたが、だんだんと
「普通に考えて、知らない半裸男がいる場所に放置されるのは、企業としても人としてもありえない」
と冷静に考えることが出来たので、そのまま私は外に出た。
講師の女に「お昼食べてきます」とメモを残した。
1時間ほどして戻ったが講師はまだ帰ってきておらず、私のメモが虚しく残されたままだった。
半裸男はまだ寝ている。
どんだけ、寝るんだよ。
結局、講師は15時頃に帰ってきた。
銀行に4時間って、絶対途中でお金、調達したよな?
おそるおそる確認したが、胸元の染みは増えていなかった。ほっ。
私の映像作品を見て「ふーん、いいかんじじゃん」と言って、またクリーデンスクリアウォーターリバイバルの動画を再生し始めた。
やたら、音楽の趣味がいい。
16時、その女が「もうすぐうちの社長が来るから、17時から研修始めましょう!」と言ってきた。
うわ、自分の研修なかったことにしてる。
え、今までなんだったの?何時に帰れるの?
呆然としている私をよそに、半裸男が目覚めた。
私を見るなり怯えた表情でバッと服を羽織り、空咳をしながらチキンラーメンを食べ、女に「バイト行ってくる」と言って去った。
なんだったん、あの男。ヒモ?
社長のおじさんは、来るなりワンルームで紙タバコをなんの断りもなしにプカプカしながら
めちゃくちゃ女のことをおだてた。
社長「みんな〇〇ちゃんのこと大好きなんだよ」
女「ふん、どーせ私は嫌われてるし」
社長「そんなことないから!この前も〇〇さんが〜」
こういう取るに足らないくだりを、2時間ほどしていた。
私、まじで、何しに来たん。
19時過ぎ、今から研修を始めると言われたので、耐えられなくなったてんすぴは病院行くので帰りますと言ってキレ気味で帰宅した。
次の日、部長に「次あの研修行かせようとしたら辞めます」と言ったら一日中部長がおだててきたので自己肯定感がめちゃくちゃあがりました。