現役エージェント&面接官からみた、面接の成功確率を高める3つの視点
リアルです。
最近つくづく思う。実力があるのに面接で落ちてしまう人がなんと多いことか。本人にとっても企業にとっても、本当は採用(もしくは入社)したほうがハッピーなのに、たった一度の面接のしくじりでそうならないことは不幸だ。とはいえ多くの人は面接に慣れていない。むしろ慣れていたら転職回数が多すぎるなど別の理由で転職活動が難しくなる。では一体どうしたらよいのか?採用支援も、自社面接もしている私から、解決策となる思考法をお伝えしたい。
面接で失敗する3つのポイント
シンプルに3つのポイントをお伝えしたい。まず1つめのポイントは、企業研究の薄さであろう。そもそも誰に対して評価してもらわなければならないのだろうか?もちろん目の前の面接官にであるが、その面接官はあるミッションを持っている。それは自分の会社に合うかどうか?である。そして、自分の会社のことを真剣に考えてくれているかどうか?だ。ただ多くの応募者は、仕事内容の話ばかりをしがちである。これももちろん大事なことだ。ただ、仕事内容に合っているかどうかは大前提であり、ある程度は書類選考の段階で見えている。そしてそれを確認するために面接官はいくつかの質問を用意しているはずである。その質問に的確に答えるだけでなく(ここがポイントだが)さりげなく会社そのものについても調べてきていることを伝える。例えば、「おっしゃるとおりで、私はマーケターとして特にSEM関連を中心にやってきたことと更にDMなどリアルな面での経験もあることが強みだと思います。貴社も統合型マーケティングについて◯◯(Webメディア)で記載されていらっしゃいましたが、そうした部分も自分の強みと相乗効果があると思いました。ちなみに、間違っていたらご指摘いただきたいのですが、競合と思われるA社やB社があると思うのですが、どういった点が差別化されているポイントなのでしょうか?」というふうに、「調べていることを伝える」+「更に質問で深ぼる」の組み合わせが自然である。最低限、その会社の強みは何か?競合優位性はどこか?まではイメージして行こう。
面接官の立場になって想像する
あなたが面接官をしているとして、一緒に働きたくない人はどんな人だろうか?限られた平均約1時間の面接のなかで、何を意識すべきだろうか?2つめのポイントは、常にバランスを意識することである。多くの企業からエージェントには、「いい人なんですけどめっちゃ話が長いんですよ」とか「悪くはないんですけど、何というか、営業なのに身だしなみがちょっと」とか「私がノートを閉じているのにずっと話し続けておられて」など、皆さんには届いていないであろう企業の本音の不採用理由が届いている。でも言えない。最も多いのが「話しすぎ」「暗い(最近多い言い回しは、覇気がない)」「論理的な話し方ができない」「こちらの質問にきちんと答えられない」などなど・・・。こんなことをエージェントから直球で言われたら傷付くし、腹も立つだろうし、更には面接官にクレームを入れたくなるかもしれない。それが怖くてエージェントも、そしてそれが人事から直接皆さんに、でも言えないのである。ここは非常に難しい。もし周りにはっきり言ってくれる人がいたら是非大事にしてほしいが、そう簡単に、よし直そう!と飲み込めないのが普通である。これを改善する方法は2つ。1つめは尊敬する人、愛する人など、自分が何を言われても受け入れよう、という人にはっきりとアドバイスを請うことである。そして2つめは、自らをもう一人の自分で見ることである。それも面接官中ずっと。話しすぎていないか?この人が聞きたいことを回答できているか?声のトーンは問題ないか?緊張して暗くなってないか?など、第三者の自分の眼を常に意識して軌道修正していく。その時に1つ軸を決めておく。今日はとにかく、終わった後に面白い人だったと思われて終わろう、とか、ある程度元気でさわやかな人だったな、とか、困ったらその軸だけ意識して何とか乗り越える。それが何もなければ、混乱した時に戻る場所がなくなる。癖や特徴は、自分では気付けないものである。私の部下は、話を聞く時に「うんうんうんうん」や「逆に言うと」を連呼していたが、録音して聞かせるまで全く気付いていなかった。
本当にその会社に興味がありますか?
もしその会社に興味があるのなら、その面接(=機会)に自分の強みを突き刺すこと。戦略の王道である。自分の強みとは何か。それはどこの会社を受けるかで微妙に言い回しが変化する。その際に大事なのが、企業の規模、企業の置かれたフェーズ、企業の悩みなどである。例えば、企業の規模が大手企業で現在業績好調で単純に事業を推進する人が多数不足している場合、赤字から黒字化させたということよりも、複数の事業をグロースさせたり、数億円より10数億円の事業を推進したほうが評価される答えとなる。ベンチャー企業ではじめてのプロダクトマネージャーの採用をする必要が出てきた場合、多くは社長はじめ社内の誰かがやっていたことを引き継ぐことになろう。そうなれば、いわゆるゼロイチでの経験や、経営者と二人三脚で事業を推進してきたころの話が刺さることになろう。ドラッカーがよく書いている、あるべき姿と現状のギャップをうめるために企業は経営をしている。そのギャップを埋める人にあなたはなりうると分かれば、既出の2つをクリアしていれば、採用したいと思うのが当然だろう。ただこの企業の置かれたフェーズや持っている課題を事前に把握することが難しい。これを知るには、上場企業ならIRを2年ほど読み込む。この2年で似たようなことが記載されていたらそれは2年かけても変えられなかったこと。そしてその2年(できれば3年)の数字の変化から、企業体調が悪くなっているのか、回復しているのかも読み取れる。上場企業は比較的簡単かもしれない。しかし未上場の企業は、私の場合まずググる。「株式会社A インタビュー 社長」や、その会社の業種がSaaS系なら「SaaS 競争激化 差別化」など関連するもので探していく。そこから自分が思うその会社の置かれている状況を分析し、簡単でいいのでメモ書きしておく。そこから思考を巡らせ考えるのだが、仮説だけでも立ててほしい。その上で分からなければ面接で素直に聞く、これだけでも伝わるものがあるはずである。
まとめ
例えばあなたに彼女や彼氏がいなかったとする。そして毎日週7日間、夜19時から2時間デートをするとする。もちろん仕事をこなしながらだ。さてどれくらいの準備ができるだろうか?相手のためにしっかり店を選んだり、その場で気の利いた話や、相手が好んでくれる態度で入れるだろうか?私だったらそんなことを毎日していたらわけが分からなくなるだろう。下調べもろくにできず、「あれ、肉が好きだって言ったっけ?」というふうな地雷を踏むこともあるだろう。何が言いたいかと言うと、たくさん受けすぎるのも良くないのでほどほどにすべきだということである。現職がある人は1週間に2社程度が適度だろう。そうしなければ何度面接に行っても、きちんと準備できずに外し続ける。その先には自信が持てなくなってしまった自分がいる。皆さんにはそうなってほしくない。上記の3つを意識し、とにかく応募させまくるエージェントは切って、適度な量の面接で、良い転職を勝ち取ってほしい。