「日本で一番ストイックなHIP HOP」 THA BLUE HARBの魅力を晋平太が語る
晋平太さんのYouTubeチャンネルをたまに視聴していますが(いつもでなくてすみません!)、
6月30日公開の動画(伝説のラッパーシリーズ)で、なんと、THA BLUE HARB(ザ ブルーハーブ)を解説していたので、早速視聴してみました。
15分ほどの動画ですが、ヘッズやブルーハーブに関心のある方には、ぜひオススメです。
冒頭、晋平太さんも「下手なこと言えないですよ」と緊張気味で(汗)、
「ラッパーに一番影響を与えてるラッパーでしょ」と、終始リスペクトを表明。
今回の動画では、ファーストアルバム「STILLING, STILL DREAMING」のみの紹介でしたが、
「超~名盤ですね」と絶賛。
「ひたすら(1st)アルバム一枚を通して(東京中心のシーンに)中指を立てると。そういうスタンスも含めて、めちゃくちゃかっこいいんだよね」
「(1st アルバムは)パンチライン強烈なのありまくりだよ。例えば、『去年のじゃなく証言の続きがききたい、TOKYOへの用件はわずかそれぐらい』。これ痛烈じゃん!」など、具体的なリリックも解説。
ちなみに、上記の「ONCE UPON A LAIF IN SAPPORO」の超有名なパンチラインは、雑誌『BRUTUS(ブルータス)』(2019年8月15日号)の、「ラッパーに響いた、名パンチライン。」というコーナーで、R-指定も挙げていました。
動画の後半には、晋平太さんが、自身の体験をもとにブルーハーブの凄さを語っているのですが、その一部を抜粋してご紹介します。
「俺もUMBで日本全国を旅してた時に、全国のクラブに絶対に貼ってあるポスターってなんですか、全国のアンダーグラウンドのショップに絶対置いてあるポスターってなんですか、答えがブルーハーブなんだよね。それだけは剥がされないだよね。それはリスペクトされてるってことでしょ?
そして(ブルーハーブは)自分たちの手でポスター送ってきたり、時には持って来て貼って行ったりする。そういうこと一個一個絶対に忘れないでやってるから、(自分自身を指して)ラッパーのファンも多いし、箱のファンも多いし、ましてやリスナーのファンもずうっと付いてくるんだよね。じゃあそれ口で言うのは簡単じゃん。20年できますかっていう、それを黙々とやり続けてる」
このポスターのくだりを聞きながら、昨年発売されたシングル曲「ING」の、次のリリックが思い出されました。
「足で稼いで生き残る 後でゆっくり呑む
俺? 俺はまだ仕事の途中 フライヤー4000枚入ったリュック背負う」
このリリックを聴くたびに、「フライヤー4000枚入ったリュック」の重みがずっしりと感じられるのは、私だけではないでしょう。
晋平太さんの証言に戻ります。
「……ラップやってて、ブルーハーブを尊敬してない人っていないと思うんだよね。スタイルはあるじゃん? 色んなラッパーがいるから。
けど、『凄すぎるでしょ』って全員思ってると思う。R-指定だってDOTAMAだってBOSS THE MCの影響ハンパじゃないと。多分ZORNだってそうだと思うんだよね」
R-指定に関しては、先ほど『ブルータス』の記事をご紹介しましたが、トークイベントなどでもブルーハーブの影響を公言しているほか(書籍『Rの異常な愛情』に収録、この記事の最後に関連記事あり)、BOSSさんに直接インタビューも行っています。
ZORNとBOSSさんの対談記事はこちら。
晋平太さんの話に戻ります(苦笑)。
「……(ブルーハーブは)自分たちの力でインディペンデントでHIP HOPをやってって、がっちり稼ぐっていう姿を見せてくれた。メジャーに行こうと思えば、絶対行けた訳よ、(音源が)何万枚も売れるんだからさ。
でも行かないよ、自分たちでクオリティコントロールしたいし、自分たちでポスター作りたい、自分たちで宣伝したい、自分たちでライブを主催したい、から全部俺たちで自分でやるんだ、めちゃくちゃインディペンデントじゃん。それって今誰がやってるのって言ったら、BAD HOPとかそうでしょ。
ブルーハーブは、今一枚目の(アルバムの)話しかしてないけど、日本中のラッパーたちにそのスタンスとそのリリックでヒントを与え続けて、最前線に立ち続ける。
FUJI ROCKに一番最初に出たのだってブルーハーブだと思うよ。そんでブチかましたから、ラッパーが出れるんでしょ?
ROCKフェスにラッパーが出てるって、一番最初に出始めたのはブルーハーブだよ、全部。で、ぶわっーて平定していった。
始まりは何ですかって言ったら、(ブルーハーブの二人が)サラ金で金借りて、プレスした自主プレスのレコードが、そのクオリティが正しかったから、ここまで来てるんでしょ。それを一歩も踏み外さず、一発も下手打たず、やり続けてると。ホント足向けて寝れないですよ。
……ラッパーとして、こんだけ美しく生きれたらいいよなっていう。だから、ブルーハーブは、日本で一番ストイックなHIP HOPなんじゃないのかなと、僕は思ってます(終)」
以上、最初から動画を視聴してもらえれば済む話なのですが、晋平太さんの話にグッとくるものがあったので、このような形で文章としても紹介させて頂きました。
前置きが長くなりましたが、こちらの動画をどうぞご覧ください。
【関連記事】