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MBTI、ちゃんとわかってますか?

皆さんはMBTIなるものを知っていますか?


「あ〜あのWeb上で無料診断できるアンケートのことでしょ」


そうそうそれでs…って違いますよ!!!あれはMBTIと同じ記号を用いているだけの全くの別物、16personalitiesです。

とは言っても私も流行りに乗って16personalitiesから入った口です。診断を受けてはどういう仕組みなのだろうと考え、それこそMBTI別あるあるなるものは一通り全部目を通した気がします。
周囲の人物やアニメキャラのMBTIを予想する様になり、まあまあの精度で当てることができる様にはなりました。

しかしある時自分がMBTIだと思っていたものは別物であることに気づき、その後も色々調べましたが一回ちゃんと本でも読んでみるかと思い、「MBTIへのいざない―ユングの「タイプ論」の日常への応用」という本を読みました。MBTIの使い方に対する理解が刷新され、今までの自分が恥ずかしくなりました。今回はその読書感想文および自分の理解の整理です。






MBTIの構成要素

MBTIではエネルギーの方向、知覚の仕方、判断の仕方、外界への接し方という4つの判断軸に沿って人間の思考プロセスの癖を類別します。

  • エネルギーの方向: E(外向型)←→I(内向型)

    • E(外向型,extrovert): 他者と関わることでエネルギー補給する

    • I(内向型,introvert): 一人の時間を設けることでエネルギー補給する

  • 知覚の仕方: S(感覚型)←→N(直観型)

    • S(感覚型,sensation): 現実での自分の体験による情報を知覚する

    • N(直観型,intuition): 起こりうる可能性に着目して情報を知覚する

  • 判断の仕方: T(思考型)←→F(感情型)

    • T(思考型,thinking): 理論を重視して判断を下す

    • F(感情型,feeling): 感情を重視して判断を下す

  • 外界への接し方: J(判断型)←→P(知覚型)

    • J(判断型,judgement): 外界に対して知覚機能より判断機能を優先して使用する

    • P(知覚型,perception): 外界に対して判断機能より知覚機能を優先して使用する

ここでSNは知覚情報が現時点と比較して過去のことか/未来のことかという軸での分類、TFは対象に対して自身の心理的距離を遠くして一歩引いた目で考えるか/近くして親身に考えるかという軸での分類といえます。これらのうちJPはSNとTFのどちらを重視するかという指標であり、またEIはSNやTFのベクトルが自己の内外のどちらに向くかを表現します。ここから以下の8つの心理機能が定義されます。

  • Si(内向感覚):現実世界の事象に対する自身の記憶を知覚する

  • Se(外向感覚): 外界の情報をありのまま知覚する

  • Ni(内向直観): 自己の内部で物事の可能性を考えて知覚する

  • Ne(外向直観): 外界の事物が秘めた可能性を意識して知覚する

  • Ti(内向思考): 物事に対して自分独自の理論で懐疑的に思考して判断する

  • Te(外向思考): 外部のシステムなどに対して合理的に判断する

  • Fi(内向感情): 自身の感情を元に判断する

  • Fe(外向感情): 他者の感情を加味して判断する

わかりやすい例を見つけたのでここに載せておきます。

あとバイアスをかけるのはあまり宜しくはないですが個人的な超偏見を言っておくと、

  • Si(内向感覚): 事実整理得意

  • Se(外向感覚): 運動神経良い

  • Ni(内向直観): 哲学考えがち

  • Ne(外向直観): アイディアマン

  • Ti(内向思考): ザ・論理的思考

  • Te(外向思考): 戦略家

  • Fi(内向感情): 自分に素直

  • Fe(外向感情): 気配り屋

って感じです笑


タイプ分類

MBTIではこれら8つの心理機能のうち各人物が先に習得し、優先して使用するものを優先度順に主機能、補助機能、第三機能と呼びます。また主機能の対極にある機能を劣等機能と呼びます。これは最も優先度が低く使用を苦手とする機能です。主機能は本人がもはや無意識に常時働かせているもの、補助機能はその次なので自分でも使おうとする意識があり、尚且つ適切に使いこなせている機能です。第三機能はその次で、あまり使いこなせていない機能です。
MBTIではEI、SN、TF、JPの四軸のうち各人物が指向するものを並べてアルファベット4文字で表し、各タイプに対して主機能、補助機能、第三機能、劣等機能を規定します。

(https://note.com/mbti_brain16/n/n10913297ab9cより引用)

いきなりこれをみると呆気に取られるかもしれませんが、各タイプの機能は暗記せずとも導くことができます。
例えばISFPの場合。まずPなので外界に対しては知覚機能、ここではSを用います。よってSeの優先度は高いです。しかしIなので外向のSeは主機能とはならず、知覚機能でない判断機能の方、ここではFを最優先に使用します。よって主機能はFi、補助機能はSeです。また第三機能は補助機能の対極、つまりSeと比較してSN軸もEI軸も逆なのでNiとなり、劣等機能は主機能の対極なのでTeとわかります。

ここで書籍でも再三注意されているのですが、もちろんISFPだって状況に応じてSiやTiなど他の機能も使います。外部環境の影響によって劣等機能Teが発達し、上手に使いこなせることだってもちろんあります。ここでいう主機能などはあくまで「心の利き手」ともいうべきで、自身が生まれつきもった心理機能の得意不得意の傾向でしかないです。

よってMBTIは断じて多種多様な人間の思考プロセスをたった16種の型に強引に当てはめるものでもなければ他者の読心術に使えるものでもなく、苦手なことの言い訳のために使えるものでもありません。あくまで「心の利き手」を知るだけにとどまるものなのです。

「心の利き手」は基本的に生まれて以来常に自分という人間を体験している自分自身が一番よく知っています。勿論人から見た自分を知ることなどは有効ですが、そもそもMBTIは外部の人間や診断サイトなどで完全に決定できるものではないのです。あくまでもただの診断と割り切ってください。あまりのめり込んでも良いことはありません。

私のタイプ

ここでは例として私のタイプを考えてみます。

  • 1文字目:I(内向型)

    • これに関してどう考えてもIです。コミュ障とかそういうわけではないですし多分人当たりは良いと思っていますし人と話すのは結構好きなんですが、人と関わるのはめちゃめちゃ疲れます。その場で疲れるのではなく、後で帰宅後などで一人になった瞬間に一気に疲れが押し寄せます。自分で書いておいてアレですが、他者との交流でエネルギー補給できるとか意味わかんないです笑

  • 2文字目:N(直観型)

    • どちらかというと未来指向のNだと思います。勿論経験から学ぶことは多いのですがそれはあくまで後天的に学習して身につけた機能だと思います。それよりは幼き頃からず〜〜〜〜っと考えてもどうしようもない抽象的なことばかり考えて収束点を追い求めている節があります。例えば「自分が思考しているということを認識してそれを元に思考しているのでこれはプログラムで言うwhile(1)みたいに永遠に終わらない再帰構造を成している」とか「結局何しようが絶対的な拠り所もないんだし全部無駄だよな」みたいな。後に高校の倫理の授業でニヒリズム(虚無主義)と言う言葉を知った時、「いやそれ俺の専売特許だろ」って思いました笑

  • 3文字目:わからない(後でわかります)

    • Tの要素もFの要素もどっちもあると感じるので判断難しいです。東大に入るまでに否応なく論理的思考力を育ててきましたし、人の目をうかがって人の感情に意識を向けている節もあります。一旦保留で。

  • 4文字目:J(判断型)

    • 元も子もない話ですが、自己の内部で色々考えた上で外部に向けて意思決定をはっきりさせると言うのは当然というか、個人的には逆がよくわからないです。心理機能をもとにきちんと考えればSeやNeだということなのはわかるのですが、そのように外部の情報源の知覚を追い求める傾向は私にはあまりないかな…と。

ということでこれだけを考えると私のタイプはINTJかINFJとなります。勿論どっちの性質も持っているということでこのまま結論づけてもいいのですがせっかくなので一つに絞ってみましょう。心理機能を元に考えます。

INTJの場合Ni→Te→Fi→Se、INFJの場合Ni→Fe→Ti→Seの順に心理機能を持ちます。主機能がNi、劣等機能がSeであることは共通しています。個人的にも納得です。私は割と事実ベースとか経験に学ぶとかよりは「こうなるかもしれない」「こういうリスクがある」など可能性ベースで予見した行動をとる傾向があります。では双方で食い違っている判断機能を見てみます。Teは作戦立案やプレゼン力といった印象がありますが、私はそういう能力に自信は特にありません。どちらかというと内にこもって物事の本質や心理、ゴールのようなものを追い求める感じがあります。これはNiやTiの機能だと思います。Fiはある程度あると思います。特にだんだん意識的に自己中心的に生きようと心がけているので、自分が何を考えてどう思っているかについては割と解像度よく捉えられていると思います。

そんな感じで私の場合Teは弱いがTi、Fi、Feは十分使用していると思うのでINFJなのではないか、と考えています。まあ正直なことを言うといろんな診断でINFJばっかり出るのでそう思い込んでいる節もあるのですが笑。

心理機能を診断してくれるものの結果をいくつか貼っておきます。(メンタズルはUIが良いし16personalitiesより面白いと思うんだが、なんでそんなに流行っていないんだろう…)

IDRlabs
サキノルバ
メンタズル

私はおそらくFiやTiが強めのINFJなのだろうと思っています。Siも強くなりたし割と大きい数値の結果が出ていますが、性格診断あるあるで自分の願望が影響しているのかも。また、性格診断ではたとえ盛って答えたりしなかったとしても現在の自分の心理状況が結果として出るわけで、それは生まれつき持つ自分の傾向とは違うものです。それにこんな単純な仕組みでその全てを測れるかはわかりません。もともと左利きだけど訓練して今では右手も使える人に対して左手と右手の技能を図るのが巷の性格診断、自分が左利きであることを自分で再確認させるのがMBTIだと思っています。が、浅学なのでこれ以上の言及は控えます。


感想

MBTIというのはあくまで自分の思考プロセスの癖を認識するための足がかりでしかないということがよくわかりました。得意なものには自信を持って、苦手なものには伸び代があると考えて共に向上させることでより多くの状況に対応できる人間になろう、っていう話ですね。今まで「このタイプの人はこう」だとか「このキャラのタイプはきっとこれだ」などと考えていましたがそれは本来の意図に合っていないとわかりました。

またMBTIの信憑性や学術的な根拠には批判的意見がありますし、どちらにせよこういうものをあまり過信するのはデメリットを生じやすいと思います。MBTIは心に対して割と高レイヤーでの解説を試みた指標であり、専門家でない我々は自分の成長のための足がかりとして利用する程度にとどまるのが良いのでしょう。

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