トランプって、肥大化した安倍晋三?
トランプ前大統領が次期大統領に決まって、がっかりしている人はたくさんいると思うし、ぼくもその一人ではあるけれど、じゃあトランプ政権ってどうなるの? って予測するときに、あれって肥大化した安倍晋三なんじゃないか? と考えてしまう。
トランプを当選させたアメリカ国民って何なんだ? って色々な人が考えているけれど、実はあまり違和感がない。むしろ既視感。
8年間も第二次安倍政権を支えてきた日本人と、あまり変わらないと思う。
だから、やっていることも同じだなあ、と。ただ、日本に比べるとアメリカの方が世界に対する影響力はけた違いに大きいのだけれど。
何が同じかって、例えば、今、トランプ次期政権の閣僚候補が次々と発表されている。これって、忠誠心、従ってくれる人をせっせと選んでいる。安倍晋三の場合、派閥のバランスを気にしてはいたけれど、お友達を重用してきたことは同じだよね。長官クラスなんかそうだよね。
安倍晋三がやってきたことって、簡単にいうと、お金を印刷して、お友達に配ってきたこと。って思うと、トランプがすることも同じかな。ただ、財政は緊縮の方に向かう。気に入らない政府機関の予算は削減し、職員はクビにする。まあ、日本ではなかなかクビにはできないけれど。
ホワイトハウス主導で議会軽視も似ている。
では、それがどうなるのか、という帰結も見えてくる。
先に、移民問題。日本は移民というか、難民に冷たい国で、家族を解体して強制送還とかしちゃう。家族の一体感とか言っているわりには、難民家族には冷たい。ただ、日本に来る難民は多くはない。でもメキシコとの国境に押し寄せる難民は多い。結局、トランプ次期政権がやることは、日本がやっている非人道的なことを、けた違いのレベルでやる、ということ。
日本以上に非難されてもおかしくないけれど、先にこれを書いたのは、この問題が、先進国が途上国に対してツケを支払っていない1つの例だから。
そして、支払っていないツケがたまっていて、それは気候変動だったりパレスチナ問題だったりもするけれど、それを支払わない先進国の権威というものは、ものすごく低下している。
そして、トランプ次期政権は、その低下を加速させる。
その点、日本はすでに低下しちゃっているから。だから、いろいろと相手にされない国になっている。そして、アメリカが同じ場所に落ちてくる、ということになるんじゃないかな。
アベノミクスを考えるとわかるのだけれど、やったことって通貨供給量を増やし、需要を増やし、成長する、ということを目指したのに、通貨供給量こそ増えたものの、それをお友達にくばっていたので需要が増えず、成長しなかった、ということになる。
トランプ次期政権の経済政策は、細かいところは違うけれど、結果は同じだろう。関税をかけて、国内産業を維持しようとして、かえってインフレを招き、経済状況が悪化する、あるいは貧困の格差が拡大する。ね、結果は同じでしょ。
最初はドル高になるけれど、長期的にはドル安になると思う。トランプはドル安が好き。輸出して外貨を稼ぎたい。でも、関税がじゃまをする。特に、中国市場へのアクセスが限られてくる。EUからはCBAM(炭素国境調整措置)の反撃を受ける。
というわけで、前回のトランプ政権はコロナで失墜したけれど、たぶん次はインフレで失墜するだろう。通貨が安くなり、関税が上がれば、輸入品は高くなる。
中間選挙で下院が共和党の過半数を維持できないかもしれない。4年後の大統領選挙はどうなるか。トランプはもう立候補はできないのだけれど、その後継者を選ぶのは難しいんじゃないかな。ということで、共和党内で政権交代が起きるのか、民主党が復活するのか。
でもこれって、自民党内で政権交代は起きたものの、与党が過半数を維持できていない、現在の日本と同じ状況になるんだろうな。
ということで、アメリカの民主党と日本の立憲民主党が抱える課題もまた、同じだろうなあ、とも思うわけだ。でも、それは別の話だな。民主党のバラバラ加減と、日本の野党のバラバラ加減が似ている。
他にも、いろいろある。まあ、医療制度については、日本はアメリカよりはるかにましなので、アメリカの制度がさらに悪化し、医療難民が増える、とか、気候変動対策は後ろ向きで、グローバル企業が困る、とか、そんなこともあるけれど、あまり良くはならないだろう。
日本を見てみると、アベノミクスのツケを支払わされているのが現状。日本の円安って、通貨を発行したのに経済が回復しなかった結果だし、もっと言えばお友達にお金を配った結果。通貨供給量を増やすということそのものは、金融政策として間違っていなかったけれど、お金の配り方を間違えた、つまり財政政策がまちがっていたということ。
4年後に、アメリカはトランプのツケを支払わされることになるんだろう。インフレとドル安、悪化した生産性、などなど。
そのケツをふかなきゃいけない次期政権は大変だと思うけれど、石破茂のように、それがうまくできないっていうこともあるだろうな。
というわけで、ではどうしたらいいのか、というのは別の機会に。