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侍タイムスリッパー

自主映画『侍タイムスリッパー』を観ましたが、これが本当に素晴らしい作品でした。まず、監督は普段米農家をしていたり、油そば屋を経営していたりするという、いわゆる普通のおじさん。それだけに、この映画のクオリティには驚かされました。自主制作ながら、細やかなところまで作り込まれており、特に侍が現代にタイムスリップして、時代劇の役者として生活するという設定が斬新で面白いです。


この映画は全体的にコメディタッチで、終始笑いが絶えません。特に印象的だったのは、新喜劇的な振りかぶった笑いどころから、主人公の顔のちょっとした表情の変化で笑わせるシーンがあり、笑いの緩急が絶妙で飽きずに楽しめました。笑いの大きさやテンポが上手く調整されているので、観ていて心地よいリズム感がありました。


さらに、映画の中で描かれている時代劇を撮影しているシーンがとてもリアルで、まるで映画やドラマの裏側を覗いているような感覚を味わえます。撮影現場のリアリティがしっかりと描かれていて、映画作りの楽しさや苦労を感じることができました。こういった細かな描写が、映画全体に奥行きと深みを与えています。


そして、見どころの一つである殺陣のシーンが特に印象的でした。自主映画ながら、迫力あるアクションシーンが展開され、侍らしいかっこよさを存分に楽しむことができます。コメディとアクションのバランスが素晴らしく、ユーモアと緊張感が巧みに織り交ぜられた展開に引き込まれました。


この映画は、笑いやアクションだけでなく、ストーリーにも深みがあり、主人公が現代に生きながらも、どこかで元々の時代や仲間に対する未練を抱くという感情が描かれています。このテーマが作品にさらなる重層性をもたらし、単なるコメディ以上の魅力を引き出していました。


監督が普段は米農家や油そば屋を営んでいることを知ると、より一層この映画に対する情熱やクリエイティビティに感動します。まさに異色の経歴を持つ監督が生み出した、ユニークで心温まる一作です。

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