#24 あたたかい夜の悩みごとなんてアイスみたいに溶けちゃえばいいのに
日々の蒸し暑さが少しずつ和らいで、
やっと私たちが知ってる「夏」が顔を出しはじめた。そんな今日この頃の悩みは、気がつけば近くにいて、ずっと引きこもっていたくなるような焦れったい気持ちになる。私たちが知らなかった今日までの夏みたいだ。
行きの通勤電車、どこもかしこも美容の広告が溢れてる。「脱毛して、きれいな肌になりましょう。」「脂肪吸引して、すてきな小顔になりましょう。」
視界に入ってくる情報を遮断するようにYouTubeを開くと、マッチングアプリのCMが2連続、別のサービス。毎日何百カップルがマッチング中なんだって。
脱毛をしていない私は、脂肪吸引をしてない私は、美しくないのだろうか。恋人がいなかった時代の私は幸せじゃなかったのだろうか。
いつの間にか私たちは誰かの美を、誰かの幸せを押しつけられている。それすら気づかない場面も多い。この焦燥感も、もしかして知らないうちにこの街に、世界に刷り込まれてしまっているのだろうか。
私の美も私の幸せも、私が決める。
あれだってしたいし、これだってしたいし、
こうありたいし、ああなりたい。
この思考もこれまで目にしたもの聞いたもの学んだもの、一分一秒の積み重ねだと気づく。だからこの先、この一分一秒、目に入るものを能動的に精査して、自分がうつくしいと思うものをもっと抱きしめていきたいと思う朝の改札。
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うつくしいと思うもの、正しいと思うもの、それを信じること、帰り道に考える。
生暖かい夜の風と改札。
新卒で入社した時の疑問を人は「じきに分かる」と笑ったけど、3年経ってもやっぱり疑問のままだった。みんなが大変だといったことも、私は大変だと思わなかった。「みんな大人になっていく」って大人は言うけど、社会の仕組みに絶望して、諦めて、ずるが上手くなって、サボるようになってるだけだった。それで給料があがらないって嘆いてる大人を沢山知ってる。
ビジネスの仕組みを学んで、相関図を理解して、関係値を築いて、心を動かす物語を話す。それだけでいいのにって社会人になって学んだのに、それだけに気づかない人達のことを、私は「大人」だと思ってしまっている。そう思いたくはないけれど、みんなどんどん「大人」になって、私が社会で感じる「寂しさ」は、肥大するばかりだ。
変わりゆくものは仕方がないねと
手を離す 軽くなる 満ちてゆく
藤井風の「満ちてゆく」。
満ちていくことは手の中に溜まっていくだけじゃない、変わりゆくものには手を離すことで軽くなって満ちていく。
今日の私の生きたい方向に1番近い。
人生は私のもの。
あたたかい夜の悩みごとなんてアイスみたいに溶けちゃえばいいのにね。
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